スター・ウォーズ エピソード3/シスの復讐(2005年アメリカ)
Star Wars : Episode V Revenge Of The Sith
大人気シリーズの第6弾ではありますが、シナリオの順番からすると第3作に該当する作品だ。
本作を最後にジョージ・ルーカスが監督やプロデュースから離れて、それどころか“ルーカス・フィルム”が
会社としてディズニーに買収されてしまったことで、“エピソード7”以降はまったく別物の映画になってしまったがために
ファンの反感をかってしまったようなので、本作は実質的にシリーズ最後の作品という見方もできなくはないです。
劇場公開当時、そこまで高評価だったわけではないのですが...
僕は前作の“エピソード2”もまぁまぁ楽しかったと思ってまして、その系譜を受けた本作も結構楽しめましたね。
ジョージ・ルーカスが77年の『スター・ウォーズ』で神経をすり減らすような苦労を強いられる
監督業から離れていたものの、“エピソード1”から監督業に復帰してずっと連続していたものですからマンネリ化も
心配されていたし、シリーズを監督し続けることで疲弊してしまったのではないかと心配でしたけど、それも杞憂でした。
本作はアナキン・スカイウォーカーがダーク・サイドに落ちてしまった決定的な出来事を描いて、
“エピソード4”以降でダース・ベイダーとして君臨するに至る具体的な経過を描いた作品ですので、極めて重要です。
それから、共和国の終焉も描いているわけですが、実に上手く辻褄を合わせたというか...スゴく上手い展開でした。
この映画は特に既に77年に作られ、多くのファンを作った“エピソード4”のストーリーが分かっているので、
本作の結末は既に決定していたようなもの。ある意味で、アナキンがダーク・サイドの付け入られ落ちていくまでの
布石は“エピソード2”でも打たれていたようなもの・・・とは言え、それでも本作はもの凄く難しい条件であったと思う。
コケてしまったら、当時のジョージ・ルーカスのブランドは失墜してしまっただろうし、“エピソード7”も無かったかも。
(いや、前述したように...残念ながら“ルーカス・フィルム”の買収で彼の手で作られなかったわけだが・・・)
一連の帝国軍と革命軍の攻防は、“エピソード6”で一区切りつくので本作の時点ではまだ問題は解決しない。
むしろ、アナキンが完全にダーク・サイドに落ちて、ダース・ベイダーが誕生することでハッピーエンドとは言えない。
その過程を、本作は実に上手く描いていたと思いますね。エンターテイメントとしても、極めて優秀です。
さすがはジョージ・ルーカス、前作でも思いましたがファンがどういうシーン演出を望んでいて楽しみたいのか、
そのファン心理というものを絶妙なまでに上手くツボを押さえている。この辺はさすがはジョージ・ルーカスという感じだ。
それから本作の見せ場は、いろいろとありますが...やはりクライマックスのオビ=ワン・ケノービとアナキンの
対立と慈悲であったと言っても過言ではなく、結局このラストの在り方が“エピソード4”へと引っ張ってしまうわけで、
戦争の終結をみることができない原因ともなったと思う。でも、それがこの物語の運命だったと言っても過言ではない。
慈悲があったとは言え、この映画のオビ=ワン・ケノービもなんだか素直ではない性格が垣間見れる。
アナキンが弟子なのであれば、彼がジェダイに失望していく経過に早くに気づいて欲しいし、止めるべきだった。
それがアナキン個人の問題とされて、挙句の果てには燃えていくアナキンにとどめを刺さずに、立ち去ってしまう。
そんなオビ=ワン・ケノービの姿に、長いシリーズのファンからも共感を得ることは難しかったのではないかと思います。
どうでもいい話しではありますが、クイーン・アミダラを演じたナタリー・ポートマンは
前作までの流れから一転して、本作では彼女の出番が大きく減らされてしまったことが不満だとコメントしたらしい。
確かに本作ではクイーン・アミダラの出番は大幅に減った感じで、登場してきたシーンでは既に女王感≠ヘ無く、
むしろアナキンとの夫婦関係に関わる内容ばかりになってしまっていて、彼女はメイン・ストーリーから外れた模様。
これは“エピソード1”から“エピソード2”への流れを汲むと、少々、唐突に彼女が外れていった感があるのは否めない。
ただ、本シリーズはスペース・オペラというコンセプトなので、彼らの恋愛や夫婦関係は重要なものだったということ。
ただ、そうなのであれば・・・もっと彼らの関係ややり取りというのは、もっとしっかりと描いて欲しかったですね。
本作ではクイーン・アミダラがアナキンの子を身ごもったという、これはこれで“エピソード4”につながる重要な部分だ。
だからこそ、アナキンが子どもへの想いを語る部分もないし、何か運命的なものを感じていたニュアンスも感じられない。
ナタリー・ポートマン個人の不満はともかくとしても(笑)、もう少しクイーン・アミダラのことは丁寧に描いて欲しかった。
色々な意見はあるとは思いますが、CG含めたデジタル撮影技術には十分に満足できる作品だったと思います。
目を見張るようなアクション・シーンがあるとか、革命的な映像技術を示したというわけではないにしろ、
お約束のヨーダの剣術シーンとか、ヨボヨボのヨーダとは思えないキレ味鋭い動きという納得性に欠ける部分も(笑)、
これらアクションは映画に活気を与えるという意味で、総じてエキサイティングな仕上がりで上手く機能していると思う。
映画の途中で、既にアナキンは人間性は豹変してしまっているのは要注目ですね。
つまりダーク・サイドに落ちてしまう“素質”は彼にあったということだ。容赦なくジェダイの生き残りを殺害するし、
ましてや父親になろうとしているアナキンが、ジェダイの子どもまでも殺めてしまうという姿が、あまりに衝撃的ですね。
この豹変ぶりがあまりにスゴいですが、ダーク・サイドに落ちていくというのはこういうことを示しているのだろう。
そして、クライマックスでアナキンが焼かれてしまい、ダース・ベイダーとして生まれ変わる様子もキチンと描いてます。
これは手術みたいで笑っちゃいそうになりましたけど、思えば前作のクローンの製造技術が布石になっていますね。
どこまでジョージ・ルーカスが計画的に撮っていたのかは分かりませんが、しっかり伏線を回収しているようで面白い。
本来的にはこの映画のキーマンは、パルパティーン最高議長なのでしょう。それは“エピソード4”以降でも、
ダーク・サイドから支配する真の黒幕であるダーク・シディアスが正体だったということなのですが、
映画の前半からいきなりパルパティーンが誘拐されていたところを、オビ=ワン・ケノービとアナキンが助けに来る
という救出劇から始まるわけで、そこからしきりにパルパティーンがアナキンに誘惑的に近づいてくる姿が印象的だ。
この誘惑こそがアナキンにとっては大きく心を動かされるキッカケであったわけで、弱い部分につけ入れられた感じだ。
結局、そこにあるのはアナキンのパドメ(アミダラ)を想う心とチョットした野心があったからこそで、
ダーク・サイドが持つ強烈なまでの力がアナキンの心を惑わせる幻覚を見せることで機能し、アナキンはすっかり
心を支配されてしまい、ジェダイに対する不信感を強めた結果、師匠であるはずのオビ=ワン・ケノービとも対立し、
いつの間にか変貌してしまったアナキンの姿にパドメも失望するに至り、アナキンは転落する一途を辿っていきます。
おそらくシリーズの熱心なファンに言わせると、この“エピソード1”から“エピソード3”までって、
共和国側の政治的な権力闘争や、戦争に於ける哲学的な要素に肉薄し切れていないことに不満を抱く人が
多いのではないかと思います。それは原作では表現されていたのだろうと思いますが、確かに映画では表面的だ。
ただ、僕はどちらかと言えば、このシリーズにはエンターテイメントとしての面白さを求めているので、
あまり深いドラマ性などはそこまで強く必要と考えていないせいか、政治を描くウェイトとしてはこれくらいが丁度良い。
(正直、“エピソード4”から“エピソード6”にしてもドラマ性が高いとは言えないと思ってまして・・・)
この映画のラストに、パドメがアナキンとの子どもである、ルークとレイアを出産するわけなのですが、
これが僕には取って付けたような出産シーンに見えてしまって・・・、もう少しキチッと運命的なものを象徴させるように
力強く描いて欲しかったなぁと。「あっ、続いて女の子が」みたいな感じじゃなくて。なんか、妙に軽く見えてしまった。
ドラマ性を期待しているわけではないけど、このパドメの出産シーンはシリーズの中では重要な意味があると思うので。
ここだけでもいいので、もう少しジョージ・ルーカスはシリーズを俯瞰して、よく考えて撮って欲しかったなぁ。
まぁ、本作の場合は上映時間が長くなっていたので、これ以上、余計な演出で引っ張るのも難しかっただろうけど・・・。
クドいようですが、“エピソード7”以降はジョージ・ルーカスの手から離れてしまったこともあってか、
僕の中では本作は一つの区切りですね。やっぱりジョージ・ルーカスの想いというのは尊重して欲しかったなぁ。
ディズニーの買収によって、ジョージ・ルーカスからシリーズが取り上げられてしまったのは、ホントに残念な出来事だ。
当時から評判が芳しくなかったアナキン役のヘイデン・クリステンセンは、シリーズ通してよく頑張ったと思います。
本作でもラジー賞にノミネートされていたようですが、ダーク・サイドに引き寄せられる過程を巧みに表現していたし、
この重要な役どころは彼だったからこそ、出来たのではないかと思う。もっと褒められても良かったと思うんだけどなぁ。
(上映時間140分)
私の採点★★★★★★★★★☆〜9点
監督 ジョージ・ルーカス
製作 リック・マッカラム
脚本 ジョージ・ルーカス
撮影 デビッド・タッターサル
編集 ロジャー・バートン
音楽 ジョン・ウィリアムズ
出演 ユアン・マクレガー
ナタリー・ポートマン
ヘイデン・クリステンセン
イアン・マクディアミッド
サミュエル・L・ジャクソン
ジミー・スミッツ
クリストファー・リー
アンソニー・ダニエルズ
ケニー・ベイカー
テムエラ・モリソン
ピーター・メイヒュー
アーメッド・ベスト
ブルース・スペンス
2005年度アカデミーメイクアップ賞 ノミネート
2005年度ゴールデン・ラズベリー賞ワースト助演男優賞(ヘイデン・クリステンセン) 受賞