メッセージ・イン・ア・ボトル(1999年アメリカ)

Message In A Bottle

私はまたてっきり...ポリス≠フ Message In A Bottle(孤独のメッセージ)を大々的にフィーチャーした、
映画なのかと勝手に思い込んでいたのですが、あの曲とこの映画は全く無関係で曲も使っていないんですね(苦笑)。

アメリカ東海岸の浜辺に打ち上げられた、瓶の中に入った亡き妻へ宛てたと見られる
タイプライターで打たれた愛と後悔が綴られた手紙に心惹かれたシングルマザーの女性新聞記者が、
取材の一環で手紙を書いた男性と接触し、いつしか都会には居ないタイプの男性と恋に落ちる姿を描いた恋愛映画。

監督は90年に『ぼくの美しい人だから』で評価されたルイス・マンドーキで、
原作も大ヒットした恋愛小説の映画化ということもあり、当時は注目度も高かったように記憶してます。
ルイス・マンドーキは恋愛映画を中心に撮っていて、それなりに得意なのではないかと思っていたのですが、
本作の出来としては、その期待には応えてくれなかった。原作の影響もあるのかもしれないが、もっと良くできたはず。

ケビン・コスナーも当時の彼の虎の巻のようなやり方で、製作も兼任して意欲的に取り組んでいますが、
どちらかと言えば、内省的な内容で映画もそんな雰囲気作りをしていたのに、ケビン・コスナーがチョット合わない。
中年の“イケオジ”としての魅力をプンプン漂わせ、彼自身もそれに自信がありそうに見えてミスマッチ感が拭えない。

オマケに「(恋愛に)慣れてないんだ」と晩熟というか、亡き妻の存在もあってか恋に臆病なことを言っておきながら、
積極的にヒロインを家の中に招き入れて、食事を振る舞ったり、暖炉に火を点けようと言ったり、よく分からない。
正直、僕にはこのオヤジがどこからどう見ても、ヒロインと“お近づき”になりたいと思っているようにしか見えなかった。
(いや...これは僕のケビン・コスナーに対する一方的で勝手な偏見なのかもしれませんがねぇ・・・)

しかも、手紙はとてもパーソナルなもので新聞記者に記事にしてもらうことを
目的として流したわけではないのは分かるが、実はヒロインが瓶に入った手紙を見つけて男性に辿り着いたことを
告白できずにいたことを途中で知って、激怒するというエピソードがある。晒し物にされたくないというのは分かるけど、
いくらなんでも一方的に怒って、ヒロインの弁解を聞こうともしないというのは、共感を得るのはなかなか難しいだろう。

この頃はケビン・コスナーもまだハリウッドでブイブイ言わせていた頃なので、
ケビン・コスナーっぽい“イケオジ”なキャラを堂々と表現し続けてますけど、こういうことを出来たのも「時代」だなぁ。
最近はすっかり、こういうトレンディなイメージを武器に活動を続ける俳優って、少なくなりましたからねぇ・・・。

ケビン・コスナーが当時、熱望したポール・ニューマンとの共演も話題になりましたが、
正直、出番はそんなに多くはない。とは言え、この寂しい出来の映画にあって、ポール・ニューマンは良い存在感。

ケビン・コスナーとロビン・ライト・ペンの大人な恋愛がメインの映画なので、ロマンス一辺倒で濃密な内容に
なりかけたところを老練なポール・ニューマンの存在は良い意味でアクセントになっていて、見どころにはなっている。
本来的にはロマンス一辺倒で濃密でなければならない作品なのでしょうけど、いかんせん恋愛劇の魅力が弱いので、
正直、ポール・ニューマン演じる父親の存在がなければ、この映画はもっとダメな方向に傾いてしまっていたと思う。

それから、本作最大の関門となるのは肝心かなめの映画のラストのあり方だろう。
原作と同じ展開ではあるので、べつに勝手に脚色してこんな内容になったわけではないことは分かるけど、
劇場公開当時、このラストは賛否が分かれていたことを思うと、確かにこのラストの違和感は拭えるものではない。

まぁ、亡き妻やヒロインのことを思って、船を造るという話しは良いんだけど処女航海を経て、
ケビン・コスナーがまるで亡き妻とシンクロするように、引き込まれるようなラストの描き方に僕も賛同はできなかった。
これならば、原作を脚色して描いた方が良かったようにも思う。このまま原作通りのストーリー展開でいくとしても、
ラストに向けては慎重に描いて欲しかったなぁ。この辺はルイス・マンドーキがしっかりグリップして欲しかったところ。

ヒロインにしたって、シングルマザーとしての現実を抱えながら、海辺の町に暮らすシカゴにはいないタイプの
シャイな“イケオジ”に惚れ込んだという設定ですけど、随分と展開速く2人は恋愛関係になっていくのを見ると、
とてもじゃないけど、新たな恋愛に消極的というわけではなく、むしろ新たな恋愛に積極的だったとしか見えないし、
落ち着いた大人の恋愛劇という体裁で描くには、そもそもこの描き方ではムリがあったとしか言いようがないと思う。

まずは、主演のケビン・コスナーの固定化されたイメージを払拭できなかったことと、
メインとなる恋愛を落ち着いた大人の恋愛として描くことに失敗したこと、そしてラストへ向けたプロセスなど、
いろいろと修正すべき点はあった作品だったと思いますね。この映画、ポール・ニューマンが出演していなかったら、
もっと魅力がない作品になっていたかもしれません。それくらい、ポール・ニューマンに支えられた作品と言えます。

本来であれば、この物語は愛していた妻を失った男、そしてそんな男の悲痛を知りつつも恋心を抱いた女性、
この2人のお互いに交わりそうで交わらない心の葛藤を描いたシリアスな作品になるべきで、純粋な恋愛映画とは
一線を画すものになったはずなんだけど、コテコテの恋愛映画に向けてしまったがために難しくなってしまいましたね。

個人的にはヒロインはシカゴの有力新聞社の記者という設定なのだから、ジャーナリズムと一人の女性としての間で
心が揺れ動くようなところも描いても良かったと思うんですがね。せっかくの設定も、今一つ活かし切れずに終わる。

確かに一つ一つのシーン演出は丁寧に描かれていて、ルイス・マンドーキが下手なディレクターだとは思わないけど、
全体を俯瞰的に考えて、映画を組み立てるという観点からは本作はチグハグしていると感じたし、大事な部分である、
映画のクライマックスに向けての駆け抜け方なんかも、あまりに雑な感じになってしまったのが致命的だったと思う。
キャスティングとしてはポール・ニューマンを得たことはとても大きかったけど、ケビン・コスナーは完全に足枷です。

そりゃ、ケビン・コスナーが出資した企画でもあるので、彼を主演で起用しないことには始まらないのですが、
彼自身が固定化されたイメージを払拭できないのであれば、違う役者をキャスティングすべきでしたね。
言ってしまえば、ケビン・コスナーだからこそ頑固な失意の中年男を演じられたというのはあるかもしれませんけど、
それでも本作は「(恋愛に)慣れてないんだ」というには無理があるし、少しの共感も集められなさそうのがツラい。

やっぱり、この手の映画で全く共感性が無い、言葉は悪いけど...独りよがりな内容になるとダメだと思うんですよね。

それから、もう一つ気になったのは亡き妻の家族との関係性だ。映画の冒頭から殴り合いのケンカが始まるけど、
特にジョン・サベージ演じる義弟との関係は最悪で、顔を合わせればお互いに罵り合いを始めちゃうくらいの悪さだ。
この関係の悪さは、映画の大きなキー・ポイントなのだろうと思ったんだけど、ここもアッサリと解決してしまうのも謎。

そういう意味では、この物語は色々と“タネまき”をしていることは間違いないのだ。
ところがそれら一つ一つが、“適切に”回収されないからどこかとっ散らかったままに映画が終わってしまう。
それが結局、原作の魅力を活かし切れなかった部分でもあるし、ルイス・マンドーキの意図の不透明なところかな。

きっと、ケビン・コスナー演じる田舎の港町のオッサンからしても、ヒロインとの束の間の恋愛で学ぶところが多く、
内向きになっていたマインドを改めて、人生を前に進めようとする瞬間を描く映画になるべきだったんだと思うんだけど、
“タネまき”を回収せずに、登場人物に共感を寄せられずに映画が終了してしまい、映画が磨かれなかったという印象。

作り手が目指したものが、そもそも違うだろうから仕方ないんだけど...
ヒロインが手紙の主に行き着くまでの時間、男のもとに手紙が戻ってくるまでの時間、それぞれを対比させて
もっとジックリと描けば映画はガラッと変わったと思う。お互いに実際に対面するまでにも幾多の困難があるはずで
当然、出会ってからもお互いの距離を縮めるまでに、相応の時間が必要だったはずで、その流れをメインに描く作品に
なっていれば、お互いの心の引っ掛かりを如何に取り去っていくかを描けて、もっと訴求する映画になったはずです。

そうして結ばれる2人を描いた方が感情の高ぶりもスゴかっただろうし、同じ結末になったとしても
もっと納得性の高い作品になり、違った感動があったのではないかと思う。それがイチャイチャし合う2人をメインに
したものだから、そもそもの設定があった意味や恋心が成就するまでの楽しみも、何もかもが中途半端になってしまう。

きっと、原作もそうだし、キャスティングを見ても良い仕上がりになる“土台”は揃っていた企画だったと思う。
それを違ったアプローチになってしまったがために、映画の世界観すらしっかりと作り込めずに終わってしまいました。

それから、もう一点。この内容ならば、上映時間は2時間以内に収めて欲しいというのも、正直な本音。

(上映時間131分)

私の採点★★★★★☆☆☆☆☆〜5点

監督 ルイス・マンドーキ
製作 デニーズ・ディ・ノヴィ
   ジム・ウィルソン
   ケビン・コスナー
原作 ニコラス・スパークス
脚本 ジェラルド・ディペゴ
撮影 キャレブ・デシャネル
音楽 ガブリエル・ヤーレ
出演 ケビン・コスナー
   ロビン・ライト・ペン
   ポール・ニューマン
   ジョン・サベージ
   ロビー・コルトレーン
   イリアナ・ダグラス
   ジェシー・ジェームズ