グーニーズ(1985年アメリカ)

The Goonies

悪ガキ集団“グーニーズ”の冒険を描いたキッズ・アドベンチャー。
おそらく僕と同世代の人でも、この『グーニーズ』を観て育ったという人もいるかと思います。

本作公開当時、既にスピルバーグはハリウッドの頂点に君臨しており、
自身で設立した映画製作会社“アンブリン”を成功させ、数多くの作品を発表していました。
本作もその例に漏れず、スピルバーグではなく、ベテランのリチャード・ドナーがメガホンを取っている。

当時、スピルバーグが84年に発表した『インディ・ジョーンズ/魔宮の伝説』が
最高のジェットコースター・ムービーと評され、世界的に大ヒットを飛ばしていましたので、
本作もその影響をモロに受けております。とにかく次から次へとアトラクションの数々。
観客に息つくヒマも与えないぐらい、次から次へとストーリーを展開させていきます。
そのテンポの良さが映画に良いスピード感を与え、すこぶる楽しい映画に仕上がっています。

まぁ常にエンターテイメント性の高い作品を意識して撮ってきたリチャード・ドナーだけあって、
まるでマニュアルでもあるかのように、サクサクと進めて、飽きさせない内容になっているのは立派である。

また、映画の途中で唐突もなく登場してくるテレビの中で歌うシンディ・ローパーによる、
『The Goonies 'R' Good Enough』(グーニーズはグッドイナフ)の主題歌がまた僕は大好き。
何と言っても、この頃のシンディ・ローパーは大好きだなぁ〜。

悪ガキ集団の宝探しと、強盗団からの逃亡劇を絡めながら見せていくのも上手い。
そしてその逃亡劇で、コトある毎に見せ場が出来ていることに映画全体のヴォリュームを感じますね。
この辺は脚本も上手かったんでしょうね、ひじょうに取っつき易い作品です。

おそらく映画最大の見せ場であろうウォータースライダーのように急流を滑るシーンは、
何度観ても、とっても上手くエキサイティングに撮られた最高の出来で、
リチャード・ドナーの仕事としても、有数の名シーンと言ってもいいだろう。

廃墟と化したレストランの地下に莫大な秘宝が眠っているという発想が面白いですね。
一連の洞窟の造詣、登場人物のキャラクター造詣なども秀逸そのもので、
正直に言いますと、僕は『ハリー・ポッター』シリーズの原点もここにあるのではないかと思っています。
そう勘ぐりしたくなるほどに、アイデアに満ち溢れた作品であり、作り手たちの創意工夫が伝わってきますね。

個人的には幼い頃に社宅のアパートに住んでいた頃に、同じ年くらいの子たちと
所狭しと遊び回っていた頃が懐かしく思い出され、思わずドキドキ・ワクワクさせられますね。
最近でこそ、冒険心をくすぐられるような体験が皆無なために、こういった感覚が新鮮に感じられるんでしょうね。
そのせいか、たまに『ミクロキッズ』とかを無性に観たくなる時があるんですよね(笑)。
これらの作品って、僕が映画にあまり興味が無かった頃から親しんだ作品でしたからね、
どうしても特別視したくなってしまう作品であることは否定できませんね。

確かにこの映画のように、身近な建物でも幼い頃だけに感じる不思議な空気ってあるんですよね。
別に宝が眠っているわけでも、ゾンビがいるというわけはないのですが、
何となく冒険心くすぐられる建物ってあるんですよね。僕の場合なら、アパートの裏にあった
10階建てぐらいの高さのマンションで、今から約20年前の話しですから、少しモダンな建物でした。
まぁ今になって考えれば、勝手に敷地に侵入して遊んだりして、怒られそうなことをしていましたが。

強いて言えば、冒険に出る少年たちの数がチョット多過ぎるのが玉に瑕(きず)かな。
3、4人ぐらいに絞った方が良かったと思う。ややメインとなるキャラクターが絞りにくいのが難点かな。
まぁそこが本作の狙いだったのかもしれないけど、逆に映画の魅力を削いでしまった感がありますね。

脚本は後に『ホーム・アローン』や『ミセス・ダウト』を撮るクリス・コロンバス。
スピルバーグも先見の目があったためか、確かに投資する価値があったということでしょう。

3、4年前に本作に出演していたショーン・アスティンと監督のリチャード・ドナーが
本作の続編を製作するというニュースが報じられましたが、著作権を持つワーナー・ブラザーズが
この企画に対して、全く興味が無いことを声明として発表しました。
確かにこの企画はアブないけど(笑)、可能なら実現させて欲しいなぁ〜。
一時期はゲームにまでなったのですから、同じ系列の内容の作品に出来るならヒットすると思うし、
本作もリバイバル・ヒットみたくなって、再注目されると思うんだよなぁ。
どっかの遊園地でアトラクションが新設されたりとか。。。

何はともあれ、最近はこういう単純明快な冒険映画が減ってきていますからねぇ。
是非とも再び、こういった作品の価値が見直される時がやってくることを切に望みます。

一種のノスタルジーではあるのだけれども、
こういう子供の頃の感覚を蘇らせるメディアがなくなってしまうというのは、
ひじょうに不幸なことだと思うんですよね。そうさせないためにも、今の子供たちをもワクワクさせる
冒険映画が必要不可欠なのです。だからこそ、本作の続編の話しは実現させて欲しいですね。

これは子供たちに夢を与えるという、映画産業が担う重要な役割の一つだと思うんです。

(上映時間113分)

私の採点★★★★★★★★★☆〜9点

監督 リチャード・ドナー
製作 リチャード・ドナー
    ハーベイ・バーンハード
原案 スティーブン・スピルバーグ
脚本 クリス・コロンバス
撮影 ニック・マクリーン
特撮 ILM
音楽 デイブ・グルージン
出演 ショーン・アスティン
    ジョシュ・ブローリン
    ジェフ・B・コーエン
    コリー・フェルドマン
    ケリー・グリーン
    マーサ・プリンプトン
    キー・ホイ・クァン
    ジョン・マツザク
    アン・ラムジー
    ジョー・パントリアーノ
    ロバート・ダビ