デイ・アフター・トゥモロー(2004年アメリカ)

The Day After Tomorrow

地球温暖化の影響により、極地の氷が溶け、海水の塩濃度が急激に低下、
海上で猛烈な低気圧が急速に発達することによって、北半球を中心に爆弾低気圧が次々と来襲し、
それらが融合することによって、未曾有の氷河期が急速に襲い掛かる様子を描いたパニック映画。

劇場公開時、あまり評判が良くなかった作品ではありますが...
あんまり深く考えないで観たせいか、僕はこの映画、凄く面白かったですけどね。

『インディペンデンス・デイ』のローランド・エメリッヒが撮ったイベント映画ではありますが、
「これぞハリウッド!」と言わんばかりに強烈なスケールで、圧倒的な映像表現を実現させました。
今も地球温暖化は刻一刻と進行していますが、それにより様々な弊害が予想されています。

様々な気象シュミレーションがあるかとは思いますが、
本作で描かれた北半球を中心とした氷河期の襲来は、一つの学説として存在しているそうです。
さすがに映画で描かれたような急速冷凍とも解釈できる勢いかどうかは知りませんが、
低気圧が次々と発達する想定はあるらしく、天候がまるで変化してしまう可能性があります。

そうすると、社会的には色々な部分で影響が出るようになります。

一つは農業であり、漁業であり、畜産業ですね。
そしてこれら第一次産業だけでなく、天候不順は当然、観光産業にとっても打撃を与えます。
結果として、映画で描かれたような氷河期にはならなくとも、我々の生活は大打撃を受け、
食糧危機、エネルギー危機、経済的な疲弊を招き、我々の生活が停滞してしまう可能性があります。
(停滞するだけならまだしも、ひょっとしたら人類存亡の危機になるかもしれません...)

まぁノーテンキな『インディペンデンス・デイ』とは違って、本作はいたってマジメな映画だ。
底知れぬパワーで、ローランド・エメリッヒの主義主張を通した『インディペンデンス・デイ』と比べると、
いささか親子愛や恋愛のセオリーに傾倒し過ぎているような気もしますが、これは許容しましょう(笑)。
何より、僕は突如、オシャレにスクリーンに映り始めるエミー・ロッサムに目を奪われてしまったので(笑)、
どんな陳腐なエピソードでも許しちゃう!とすら思ってましたし、まぁ目くじら立てるほど、悪くはないと思う。

いい加減な東京の描写も相変わらずですが(苦笑)、
それだけでなく、巨大竜巻が襲うロサンゼルスの市街地、氷河に覆われるニューヨークなど、
とにかくヴィジュアル的に大迫力の映像が展開され、パニック描写はお見事としか言いようがない。

今だったら、3D上映されてそうな作品ですが、本作は映画館で観ておいた方が良かったかもしれませんね。
(まぁ・・・あのときは就職活動にも忙しかったし、教育実習もあったから現実的に無理だったんだけど・・・)

明確な気温が分かりませんので、
どれだけの気温減率で、どれぐらいまで気温が低下したのか、よく分からないところは残念ですが、
そんな極寒の環境下でも、息子との約束を果たすためとは言え、単身で救出に向かおうとする
親父の姿からは、見事なまでの親子愛が溢れていますね。まぁ・・・テントで寒さをしのげないとは思うけど(笑)。

そんな必死な親父を熱演したデニス・クエイドは、久しぶりのメジャー映画での主役級の役。
息子役のジェイク・ギレンホールと、そこまで似てはいない気がするけど(笑)、
息子との約束を今度こそは守らなければという彼の強い想いが、実に説得力ある表現になっている。

ただ、欲を言えば、この親父の家庭環境はもう少し説明した方が良かったと思いますね。
おそらく仕事が多忙なため、家庭円満というわけではないのだろうけど、
このファクターが上手く使えてなくって、どうせなら家族の再生を一つのテーマにして欲しかったですね。

ベタな意見ではありますが、このテーマをもっと強調できていれば、
映画のクライマックスはより感動的なものにできていただろうと思えるだけに、勿体ないですね。
(まぁ・・・この展開にしていたら、おそらく批判の論調が強くなるだろうけど・・・)

前述したように、迫力のVFXを用いた映像表現は素晴らしいと思います。
これはローランド・エメリッヒにしかできない芸当って感じで、こういうのをこれからも見せ続けて欲しいですね。

それにしても僕は寒いのはイヤだから(笑)、こういう環境って想像したくないですね(笑)。
今まで僕も−20℃ぐらいまでの世界なら体感したことがありますけど、もう死ぬかと思いましたもん(笑)。
冗談抜きで一度、死ぬかと思った忘れられない体験があって、朝方の急激な冷え込みで−20℃ぐらいになり、
歩いていたら次第に耐え切れなくなり、思わずバス停にあった小屋に入り、耳を再生させましたもん(笑)。
当時、耳当てなんかしないで歩いていましたから、耳がポロッと取れるのではないかと心配になるぐらい、
寒過ぎて耳の感覚が無くなってしまうんですね。寒さで感覚がすっかり麻痺してしまったんですよね。

あの時思いましたもん、「あぁ、ピアスの穴開けるときって、こんな感じか」って(笑)。

まぁ地球環境問題を取り扱った映画というのは、
70年代のカルトSF映画ブームの頃から存在はしていましたが、
さすがにここまでのスケールで描いた映画は今までありませんでしたからねぇ。

「21世紀は環境の世紀」と僕なんかは大学で話しを聞きましたけど、
これからは本作のようなパニック映画が数多く製作されていくのでしょうね。
そういう意味では、一つのスタンダードになる画期的な映画であったと言ってもいいと思います。

あまり深く考えずに、できるだけ視聴環境の良い条件で観ましょう!

(上映時間123分)

私の採点★★★★★★★★★☆〜9点

監督 ローランド・エメリッヒ
製作 ローランド・エメリッヒ
    マーク・ゴードン
原作 ローランド・エメリッヒ
脚本 ローランド・エメリッヒ
    ジェフリー・マックナノフ
撮影 ウエリ・スタイガー
編集 デビッド・ブレナー
音楽 ハラルド・クローサー
出演 デニス・クエイド
    ジェイク・ギレンホール
    イアン・ホルム
    エミー・ロッサム
    ジェイ・O・サンダース
    アージェイ・スミス
    セーラ・ウォード
    タムリン・トミタ

2004年度イギリス・アカデミー賞特殊視覚効果賞 受賞