ブライアン・セッツァー・オーケストラ/25周年記念ジャパン・ツアー

The Brian Setzer Orchestra/25th Anniversary Japan Tour

2018年1月24日(水)[ニトリ文化ホール]

       

01 Pennsylvania 6-5000 ペンシルヴェニア 6-5000
02 Hoodoo Voodoo Doll フードゥー・ヴードゥー・ドール
03 This Cat's On A Hot Tin Roof ジス・キャッツ・オン・ア・ホット・ティン・ルーフ
04 Stray Cat Strut 気取り屋キャット
05 Runaway Boys 涙のラナウェイ・ボーイ
06 Gene & Eddie ジーン&エディ
07 Sleepwalk スリープウォーク
08 The Dirty Boogie ダーティ・ブギー
09 Jump Jive An' Wail ジャンプ・ジャイヴ・アン・ウェイル
10 Sexy - 17 セクシー+セブンティーン
11 I Won't Stand In Your Way 涙のリトル・ガール
12 Sexy, Sexy セクシー、セクシー
13 Rumble In Brighton ランブル・イン・ブライトン
14 Rockabilly Boogie ロカビリー・ブギー
15 I Got A Rocket In My Pocket アイ・ガット・ア・ロケット・イン・マイ・ポケット
16 Fishnet Stockings 悩殺ストッキング
17 Rock This Town ロック・タウンは恋の街
アンコール
18 Drive Like Lightning (Crush Like Thunder) ドライヴ・ライク・ライトニング(クラッシュ・ライク・サンダー)
19 Let's Shake レッツ・シェイク
道路がツルツル、一日の最高気温が−5℃くらいという素晴らしい札幌の夜に、
ブライアン・セッツァーが約2年ぶりにやって来ました。ご自慢のオーケストラを連れての来日ツアーは4年ぶり。
ちなみにその4年前のジャパン・ツアーも、何故か札幌が入っていて、何か贔屓にしているものがあるのかもしれません。

あまりブライアン・セッツァーに詳しいわけではないので、
それなりにCD聴いて“勉強”するなど、自分としては珍しく異例なぐらい身構えて行ってきました(笑)。

今回の会場はニトリ文化ホールということで、個人的にここでコンサートを見るのは、
記録を振り返ると約12年ぶりのようで、前回はボズ・スキャッグスの公演でした。
ブライアン・セッツァー自身は札幌公演は必ずここで行っているようで、前回のロカビリー・ライオット・ツアー≠
入れると、ここ4年間の間で実に3回目の札幌ということで、札幌にファンが根付いているということなのでしょうね。

会場に入ると、もう開演時間が近いというのに、チョット心配になる客入り。
ホール席の後方はほとんど人がいないし、当然のように2階席は未開放で、全体の6割程度の埋まり具合。
さすがに自分のいた10列目は勿論のこと、前方はほぼ埋まっていたけど、おそらくS席とA席の設定だったので、
A席はほとんど売れなかったのではないかと思いますね。これは開演まで、ほぼ変わらずでした。
ニトリ文化ホールの客席数は2300人らしいので、おそらく実際の客入りは1200〜1300人くらいでしょう。

ただ、今回はブライアン・セッツァー・オーケストラ′巨ャ25周年記念のジャパン・ツアーということで、
しかもこの札幌公演はツアー初日。当の本人もそうとう気合が入っていたと思うので、余計にこの客入りが・・・(苦笑)。

実際の開演は何故か予定時刻の19時よりも、1〜2分フライングで始まり、
この客入りを吹き飛ばすぐらい、ビッグバンド・スタイルで賑やかなステージ、そしてド派手なジャケットを着た、
ブライアン本人の登場で、スタートから会場総立ちで、そのままの勢いで公演最後まで立ちっぱなしでした。

冒頭の Pennsylvania 6-5000(ペンシルヴェニア 6-5000)では、ステージに颯爽と登場してきた、
ブライアン・セッツァーは派手なジャケットを着て、代名詞のギターを持たずにスタンド・マイクで熱唱。
途中からギターを取りに行ってソロ・パートを演奏するという流れで、この登場はなかなかカッコ良いかも。

やたらと矢継ぎ早に演奏するので、ライヴの前半はスピード感満点。
Voodoo Hoodoo Doll(ヴードゥー・フードゥー・ドール)はビッグバンド・スタイルならではの楽しさ、
Runaway Boys(涙のラナウェイ・ボーイ)は珍しくオーケストラ・ヴァージョンで聴かせます。
そして客席からも多くの「ジーン&エディ!!」の掛け声が聴こえる Gene & Eddie(ジーン&エディ)も良かった。

今回はブライアン・セッツァー・オーケストラ≠ニして結成25周年のツアーでしたが、
実にコンサートの序盤から、惜しみなくストレイ・キャッツ℃梠繧ゥらの人気曲を立て続けに演奏します。

ほぼ独演だった Sleepwalk(スリープウォーク)もストレイ・キャッツ℃梠繧ゥら何度も取り上げているですが、
ラリー・カールトンの有名なカバーに負けず劣らずの素晴らしい演奏でしたね。結構、ギター・ソロになると
縦横無尽にステージを動き回って、ある一定の制約の中で自由にソロを弾いてるように聴こえるのですが、
この Sleepwalk(スリープウォーク)のようにスローな曲も、凄く上手いですね。間がとっても良いです。

同じ路線で言えば、I Won't Stand In Your Way(涙のリトル・ガール)、これも素晴らしかった。
セッツァーはギターの達人であるとの認識だったのですが、実は歌が凄く上手い人ですね。
これは必死に付け焼刃で前情報を入れていたせいか、凄く意外な姿に見えていましたねぇ。

そして日本でのヒットだった Sexy, Sexy(セクシー、セクシー)はやっぱり良かった。
これ、あんまりコンサートでやらないと聞いていたからこそ、インパクトに残りましたね。
長く続いたオーケストラとの競演は Ramble In Brighton(ランブル・イン・ブライトン)で一旦終了。
ここからはブライアン本人も「“ロカビリー・タイム”だ!」と宣言した通り、ロカビリー・ライオット<Xタイルになって、
主には3人でカバー曲を中心に、最後はハチャメチャになった Fishnet Stocking(悩殺ストッキング)で大暴れ。

もう、定番と化したかのように、ドラムセットの上に乗るわ、ウッドベースの上に乗るわと、
客席を煽る、煽る。おかげで手が痛くなりました(笑)。これこそ、真のエンターティナーって感じがします。

ブライアン・セッツァーって、ロカビリーの伝道者であり、ビッグバンドを率いて「とにかく楽しくやろうぜ!」って感じで、
それでいながらスイング・ジャズの“美味しい”ところだけ切り取って、懐かしい曲やらスタンダードを自分のカラーに
染めてロックンロールとして演奏するという、独特なアーティストで実はとても上質で大人な空間を演出してくれますね。

アンコール前、最後の曲は定番の Rock This Town(ロック・タウンは恋の街)で大盛り上がりでフィニッシュ。
一旦、ブライアンがステージから退場して、アンコールまではチョイ長めに3分くらいの時間があったでしょうか。
でも、この間は何故だか分かりました。青いジャケットに着替えてたんですね(笑)。ご満悦な表情で再登場して、
客席からの歓声にも、「そうだよ、ほら、ナッシュヴィル」とプチ自慢(笑)。やはりファッションにはうるさそうですね(笑)。

アンコールは Drive Like Lightning (Crash Like Thunder) (ドライヴ・ライク・ライトニング)、
そして意外にもロカビリー・ライオット≠ナ収録した Let's Shake(レッツ・シェイク)で終わり。
最後はまるで大円卓のような終焉で、「これでホントに終わりなんだよ」と言われているかのようなラスト(笑)。

正味90分。まるで時間を測っていたかのような流れでした。
日本でも根強い人気があるブライアン・セッツァー、正直、僕は今までそこまで追えていなかったのですが、
これだけ忠実にエンターテイメントで、凄く楽しい時間を提供してくれるのですから、素直に応援したくなりました。

今回は25周年記念のツアーでしたから、人気曲を矢継ぎ早に演奏するという感じでしたが、
客入りはあまり良くなかったとは言え、ブライアンは手抜きせずにしっかり楽しませてくれました。
また、札幌に来てくれないかなぁ〜と思わず期待したくなる、実に素晴らしいライヴでしたね。

極寒の札幌でしたが、久々のコンサートで嬉しかったこともあり、なんだか暖かい気持ちになりました。