スター・ウォーズ(1977年アメリカ)
Star Wars : Episode W A New Hope
言わずと知れたジョージ・ルーカスが世界のSF映画ファンを熱狂させた名作シリーズの第1弾。
後付けの副題ではありますが第1弾とは言え、実は本作は9部作のうちの“エピソード4”とのことです。
73年の『アメリカン・グラフィティ』を映画会社に酷評されてしまったジョージ・ルーカスは、
本作の撮影にあたって、相当に悩んだようですが友人だったスピルバーグに絶賛されたことで自信を持ったようだ。
その甲斐あってか(?)、本作は77年度アカデミー賞で作品賞含む主要11部門に大量ノミネートされ、
技術部門が中心にはなりましたが7部門受賞するという快挙を成し遂げました。これは画期的なことだったと思う。
正直言って、当時の技術力の限界の映像なので、セット撮影も含めて今の時代と比較するとツラい映像ではある。
けれども、この手作り感が僕にはたまらなく良い。これを具現化させたジョージ・ルーカスはホントに偉大だと思います。
本作の登場で、全世界のSF映画ファンを虜にして、数多くのファンを映画館に動員した名作ですけど、
そんな映画に劇場公開前に太鼓判を推したスピルバーグの先見の明も素晴らしい。やはり当時の感覚としては、
本作が表現したことは画期的なことだったのだろう。特にクライマックスのルークが操縦する乗り物での戦闘シーンは
まるでテレビゲームのようではありましたが、あの映像は当時の映画ファンも凄く驚かされたのではないだろうか。
まぁ、それ以前にもルークとハン・ソロがレイア姫を助け出しにダース・ベイダーらがいるステーションに潜入して、
レーザー銃の撃ち合いをしながら、レイア姫を助けるシーンにしても、近未来的な感覚でゲームのような楽しさがある。
(正直言って、あの光線は幾度となくルークやハン・ソロ、レイア姫らに当たっているように見えるけど・・・)
後々、『スーパーマン』シリーズなどで似たような映像表現が登場してきましたけど、
こういう映像表現を先駆的に真正面から取り組んでいたのは、ほぼほぼ間違いなくジョージ・ルーカスくらいだろう。
これも今観ると、どうしてもチープに見えちゃうところはあるけど...ライトセーバーを使った剣術も、未来的デザインだ。
今や特殊映像技術を駆使して特殊効果の映像を作るILM(インダストリアル・ライト&マジック)を
本作の撮影のためにジョージ・ルーカスが1975年に立ち上げたわけですが、本作の成功は飛躍の原動力となった。
本作でジョン・ダイクストラらが開発したモーション・コントロール・カメラは、近年のSF映画の基本となっている。
この誕生があったからこそ、ジェームズ・キャメロンの『アバター』のような作品があったわけで、本作はパイオニアです。
ちなみにILMの親会社は“ルーカス・フィルム”でジョージ・ルーカスが作った会社で、
2012年にディズニーが買収したので、今やディズニーがこういった先端技術を持っていると言っても過言ではない。
個人的には9部作のすべてをジョージ・ルーカスが監督した作品で観たかったというのが本音ですが、
2015年の“エピソード7”にあたる『スター・ウォーズ/フォースの覚醒』からは他の人に監督を任せることになります。
それは“ルーカス・フィルム”自体がディズニー資本の会社になっていたことも、影響したのではないかと思います。
まぁ、ジョージ・ルーカス自身が70歳を過ぎていたということもあり、ある種の世代交代を意味したのかもしれません。
(とは言え、当初はジョージ・ルーカスが製作総指揮として参加する予定でしたが、ディズニー側が拒否した・・・)
本作も撮影現場は大変だったのだろうけど、そんなイザコザを感じさせないくらいの手作り感いっぱいで嬉しい。
やはり当時のジョージ・ルーカスは楽しかったのではないだろうか。彼自身は本作の内容自体に納得できなくて、
後々に“特別編”というニュー・ヴァージョンを公開したことで話題となりましたが、それはそれでいいとしても、
僕は本作の良さって、やっぱり温かみのある手作り感であって、映画製作を楽しんでいるように思えることにある。
だから大幅に映像を改変して欲しくはなかったのだけれども、この“特別編”はCGも使って再編集してますからね。
こういうジョージ・ルーカスの探求心と彼なりの主張が、時には余計に感じられてしまうこともなくはないの・・・かも。
名キャラクターである“C−3PO”と“R2−D2”の凸凹コンビぶりも素晴らしく、これは『隠し砦の三悪人』などの
黒澤 明の監督作品からインスパイアされたキャラクターらしく、こういった愛すべきキャラクターが誕生していなければ
本作はここまで熱狂的なファンを獲得できなかったと思う。こういうところにジョージ・ルーカスの計算高さを感じますね。
特に“C−3PO”のトークは忘れ難く、個人的にはテレビ放送されていた野沢
那智の日本語吹き替え版がイチオシ。
賢いんだけど、どことなく動きが不安定な“R2−D2”をスクラップになる直前に救ってあげる優しさも印象的ですね。
こうして、ロボットでありながらもどことなく人間らしさを吹き込むことで、愛着を持ってもらえるように仕向けている。
結局、本作はスペースオペラですから最終的には人間ドラマに落ち着くわけですが、
まだ本作の時点ではレイア姫を取り合うようなニュアンスは弱くって、ハン・ソロははあまりレイア姫に絡まない。
映画の終盤でルークがレイア姫を巡って、ハン・ソロをけん制するようなことを言ってますが、まだ恋愛は描いていない。
とは言え、本作でキャリー・フィッシャーが演じたレイア姫はルークから見たら、チョット年上な大人の女性という感じ。
一方で本作で描かれるハン・ソロは、まだどこかキザな感じ(笑)でレイア姫に対しても、そこまで積極的ではない。
どちらかと言えば、彼にとっては金儲けの方が大事という感じで、ここから微妙に彼のキャラクターも変わっていく。
(実際問題として、ハン・ソロは借金を返さないと命の保証はないと
それにしても...ジョージ・ルーカスにとってもある種の賭けのような作品ではありましたが、
ハン・ソロを演じたハリソン・フォードにとっても、本作への出演はギャンブルに近い感じだったようで、
言うまでもなくハリソン・フォードは本作でのブレイクがキッカケで、ハリウッドを代表するアクション・スターの一人として
スターダムを駆け上がっていきましたが、本作撮影当時、彼は既に30代半ばという年齢で売れない役者でした。
ジョージ・ルーカスの監督作である『アメリカン・グラフィティ』でもそこそこ印象に残る役をもらっていましたが、
今一つブレイクすることなくズルズルと来てしまっていたので、どうやらアルバイトしたりして大変な状況だったようです。
ハリソン・フォードの本作に賭ける思いは強かったらしいので本作が大ヒットして運命が変わり、感慨深かったでしょう。
まぁ、そういった様々な思いが交錯していた作品ではあったのですが、
構図的にとても分かり易く、正義と悪を対比的に描いたのもヒットの要因でしょう。ダース・ベイダーも良いけど、
個人的には強硬に攻撃的な強権を振るう、帝国軍のターキン司令官を演じたピーター・カッシングが良い味を出してる。
事ある毎に、身柄を拘束したレイア姫をどうするかでもめている割りに、
彼女を生かしたまま独房に入れたりとご都合主義な部分もあるにはありますけど、それでも彼が登場するシーンは
総じて程よい緊張感があって良いですね。やっぱり悪役キャラクターは本作のようにキチッと磨いて欲しいですね。
本作は単にストーリー上のアイデアが良かったとかそういう作品ではなく、正義と悪の対比が良いバランスなのです。
ジョージ・ルーカスは本作で監督を務めてからは、そのプレッシャーの強さや過酷さから本作を最後に
第2作からはプロデュースに専念することになります。これもシリーズを続けるためには賢明な判断だったのでしょう。
スピルバーグは映画監督としての活躍を続けていきましたが、ジョージ・ルーカスはどちらかと言えば、
ILMの運営者としての方が有名になっていったような感じで、ハリウッドのスタジオに於けるイザコザにも巻き込まれ、
第一線からは一歩引いたところで活動していたような印象だ。まぁ、80年代後半に日本のCMに出演してましたがね。
それだけ、本作を監督したこと自体が彼にとっては大きな重荷であったようで、革新的な映画を作ることの難しさかな。
劇場公開当時も「学芸会の被り物大集結のような映画だ」などと酷評する意見もあったようで、否定的な意見もある。
とは言え、クライマックスのデススター破壊に至るまでの攻防や、それ以前のデススターからの脱出劇でシューターを
滑り降りて“肥溜め”のような場所に行き着いて、更にプレス装置が動き始めるスリルなど、しっかりと見せてくれる。
この基本に忠実なアプローチがあったからこそ、本作は単なるコスプレ大会に終わるような作品ではないと思う。
まぁ、ジョージ・ルーカス的には満足のいく特撮ではなかったようなので“特別編”では新たにCGを使って、
再編集したようですが、当時の特撮技術を結集させて作ったこと自体が革新的であって、当時の映画ファンにとって
本作の誕生自体が強烈なインパクトを持っていることは、おそらくこの時代でしか到達し得ない境地だったのだろう。
僕はそれが「時代遅れ」と言いたいわけではなく、その境地に達した映画というのは後年に語り継がれるものだと思う。
まだ発展途上ではあったとは思いますが、“エピソード4”が事実上の第1作であったというのもユニークだ。
それでも不思議なことに、本作単体で一つの映画として十分に成立していることも特筆に値するものだと思います。
(上映時間124分)
私の採点★★★★★★★★☆☆〜8点
監督 ジョージ・ルーカス
製作 ゲーリー・カーツ
脚本 ジョージ・ルーカス
撮影 ギルバート・テーラー
特撮 ジョン・ダイクストラ
リチャード・エドランド
フィル・ティペット
ILM
編集 リチャード・チュウ
ポール・ハーシュ
マーシア・ルーカス
音楽 ジョン・ウィリアムズ
出演 マーク・ハミル
ハリソン・フォード
キャリー・フィッシャー
アレック・ギネス
ピーター・カッシング
アンソニー・ダニエルズ
ケニー・ベイカー
デビッド・プラウズ
1977年度アカデミー作品賞 ノミネート
1977年度アカデミー助演男優賞(アレック・ギネス) ノミネート
1977年度アカデミー監督賞(ジョージ・ルーカス) ノミネート
1977年度アカデミーオリジナル脚本賞(ジョージ・ルーカス) ノミネート
1977年度アカデミー作曲賞(ジョン・ウィリアムズ) 受賞
1977年度アカデミー美術監督・装置賞 受賞
1977年度アカデミー衣装デザイン賞 受賞
1977年度アカデミー視覚効果賞 受賞
1977年度アカデミー音響賞 受賞
1977年度アカデミー編集賞(リチャード・チュウ、ポール・ハーシュ、マーシア・ルーカス) 受賞
1977年度アカデミー特別業績賞 受賞
1978年度イギリス・アカデミー賞作曲賞(ジョン・ウィリアムズ) 受賞
1978年度イギリス・アカデミー賞音響賞 受賞
1977年度ロサンゼルス映画批評家協会賞作品賞 受賞
1977年度ロサンゼルス映画批評家協会賞音楽賞(ジョン・ウィリアムズ) 受賞
1977年度ゴールデン・グローブ賞音楽賞(ジョン・ウィリアムズ) 受賞