スター・ウォーズ エピソード1/ファントム・メナス(1999年アメリカ)
Star Wars : Episode 1 The Phantom Menace
この映画は劇場公開されたときの大フィーバーぶりをリアルタイムで体験したので、よく覚えています。
83年の『スター・ウォーズ/ジェダイの帰還』以来、約16年ぶりに作られた待望の“エピソード1”であり、
77年の『スター・ウォーズ』(エピソード4)以来にジョージ・ルーカスが監督としてカムバックしてきた作品になります。
後半にやや失速してしまった感が否めないけど、中盤のポッドレースあたりまでは確かに面白い。
当たり前と言えば当たり前ですが...CG技術もかなり進化して、可能となった映像表現の幅が広がったので、
ジョージ・ルーカスの描きたかったことがかなりダイレクトに表現できるようになったのではないかと思えました。
“エピソード4”から“エピソード6”までは、納得がいかなかったところがあったからこそ“特別編”を作ったのだろうし。
劇場公開当時、かなり賛否が激しく分かれていた記憶があって、酷評も多かったはずです。
ラジー賞にも大量にノミネートされているのですが、正直そこまで悪い出来でもないような気がしますけどねぇ・・・。
やっぱり久しぶりの続編ということもあって、当時の映画ファンの期待が大きくなり過ぎていたのかもしれません。
それから、同じ年にVFX旋風を巻き起こした『マトリックス』も公開されて、世界的大ヒットになりましたからねぇ〜。
本作は本作で、“エピソード1”としてアナキン・スカイウォーカーが如何にジェダイとして修行をして、
ジェダイの騎士になる土台を作ったか、ということを彼を見い出したクワイ=ガン・ジンを通して、克明に描いています。
まぁ・・・正直言って、どことなく手作り感の感じられた“エピソード4”から“エピソード6”が好きだったので、
フルCG映画みたくなってしまった本作をどう評価するかということは、かなり意見が分かれるところかとは思います。
確かにここまでいっちゃうと、アニメーションを観ている感覚に近いというか、当初のシリーズの魅力からかけ離れた
ものになってしまっている気がして、良く言えば新感覚だけど、悪く言ってしまえば別物の映画というようにも見える。
おそらく、90年代に製作していた“特別編”のことを思うと、“エピソード4”から“エピソード6”でも、
ジョージ・ルーカスの思い描いていたイマジネーションを具現化し切れていないという後悔があったからこそ、
ああいった後付けででもCGを使って、再編集したヴァージョンを作るというディレクターとしての意図があったのだろう。
実際問題として、本作は“エピソード4”から“エピソード6”をそれぞれ再編集して作った、
“特別編”の感覚と近い作品になっている気がして、特に登場人物の衣装やキャラクターのデザインについては、
作り手の強いこだわりが感じられます。ナタリー・ポートマン演じるクイーン・アミダラの衣装を見ても、それは感じます。
ヴィジュアル的にはCG技術の発達がジョージ・ルーカスの描きたい質感や色艶が表現できるようになったように思う。
とは言え、本作が賛否両論になったのは、長年新作を待たされたファンの熱狂はあった反面、
一方で“エピソード4”から“エピソード6”までのファンが求めていたものとのギャップがあったというのもあったのかも。
あと、謎めいたダース・モールもダース・ベイダーよりは剣術に優れているのは分かったけど、
それでもアッサリと退治されてしまう弱さも気になったなぁ。ヴィジュアル的にも謎めいた雰囲気で強そうだったし、
もっとオビ=ワン・ケノービも窮地に追いやられるくらいの迫力があっても良かったし、何か帳尻を合わせるかの如く、
アッサリとやられてしまうのは見どころとして寂しい。映画の後半ではダース・モールとの闘いはハイライトだったはずだ。
あれくらいのインパクトのあるキャラクターなのだったら、この映画単発で終わるキャラにするのは勿体ないですね。
本作では、中盤のポッドレースくらいしか見せ場が無いので、ダース・モールの強い存在感は生かして欲しかった。
オビ=ワン・ケノービの師匠のような存在であったクワイ=ガン・ジンが、アナキン・スカイウォーカーに
何かしらの強い運命を感じて、幼かった彼を引き取って修行するという設定は悪くないし、皮肉にもダース・ベイダーに
似たダース・モールとクワイ=ガン・ジンが一対一で対決するという流れもまでは、上手く“お膳立て”したと感じた。
ところが、本作はどこか押し切れない感じだった。さすがに90年代後半に製作された映画であったせいか、
もっと強いインパクトを持ちたかったし、ジョージ・ルーカスも意図的にアクションを増やしたのではないかと思うけど、
それでも“乗り切れない”消化不良な部分のある映画になってしまったというのも、僕は否定できないと思いましたね。
本作は“エピソード1”ということもあって、シリーズ通しての位置づけはとても重要だったと思うんですよね。
特にオビ=ワン・ケノービの若き日を描くことで、如何にして腕を磨き上げダース・ベイダーとの因縁が始まるのか、
その発端を描くエピソードとして重要なもの。だからこそ、ジョージ・ルーカスが監督したというのもあったのでしょうけど、
個人的にはジョージ・ルーカスはプロデュースに専念して、監督は他の誰かに任せても良かったような気がしますね。
そういう意味では、映画の前半に少年だったアナキンに目をつけて、クワイ=ガン・ジンが修行させる意向を
ヨーダやウィンドゥに告げたところ、彼らがそのことに渋い顔をしていたことが、あまり深く言及されなかったのは残念。
おそらく、このリアクションこそがシリーズのベースになってくるし、彼らが積極的ではなかったことには理由があるはず。
ジョージ・ルーカスも想いが強くて、本作で描きたいことが多かったのでしょうが、整理がついていない印象が残った。
次作ではそれなりに見せ場は作られるのですが、本作の時点ではサミュエル・L・ジャクソン演じる、
ウィンドゥにはそこまで見せ場は与えられておらず、キャストはやたらと豪華なんだけど、勿体ない部分もある。
映画は要するに、“エピソード4”の時点で反乱軍と帝国軍が宇宙戦争状態にあるという設定でしたけど、
その前段階として、銀河共和国の中でなんとか戦争を回避しようと外交をどう行おうかと検討する姿を描いています。
その外交努力を検討するクイーン・アミダラを守るべく、クワイ=ガン・ジンやオビ=ワン・ケノービも協力するのですが、
そこに不思議な能力に長けた少年アナキン・スカイウォーカーが絡んでくることで、物語の骨格が出来上がってきます。
余談ではありますが...僕は後から知ったことではあるのですが、
何故にジョージ・ルーカスが“エピソード4”から映画を撮ったのか、ということで僕は後付けなのかと思ってたけど・・・
ジョージ・ルーカスの構想では、“エピソード4”から“エピソード6”で描かれる時代は、一世代先の未来とは言え、
戦争状態で人々の暮らしなどの文明が後退したという設定であって、“エピソード1”から“エピソード3”を撮るにあって、
映像表現に関わる技術の進展が必須だったようで、可能になったから“エピソード1”に戻ったという説があるらしい。
これは確かに納得のいく説ではあるのだけれども、もしホントにそういうことだったとしたらスゴい計算力だ(笑)。
このジョージ・ルーカスの意図が事実だったとしたら、本作を“エピソード4”から“エピソード6”と
まともに比較すること自体がナンセンスだ、ということなのかもしれませんね。描くべき世界観も異なるということですし。
まぁ・・・とは言えね...もっとワクワクさせられるようなアドベンチャー性は映画に欲しかったので、そこは残念でした。
本作は世界中で空前の大ヒットとなり、日本でも社会現象化するほどの劇場公開となりました。
今思えば、当時は何故にあんなに熱狂していたんだ?と不思議に思うところもあるけど、これはこれで良い時代でした。
ジョージ・ルーカスもしっかりと稼いだでしょうから、続く“エピソード2”へ向けて大きな自信になったことでしょうね。
正直言って、そこまで期待に応えてくれた作品だったとまでは言えないけれども、
クドいようですが中盤のポッドレースは大迫力で手に汗握る迫力でした。あれこそ、CGの恩恵とも言える感覚だろう。
ライトセーバーを使ったクワイ=ガン・ジンとダース・モールの闘いも良かったけど、あれはチョット短過ぎたかな。
せっかく剣術シーンは“エピソード4”から“エピソード6”よりもずっと良くなっただけに、もっとしっかりと見せて欲しかった。
それから、これはずっとそうなのですが・・・映画の尺が長い傾向にあるのも、なんとかして欲しかった。
さすがにこの内容で2時間を大きく越えてしまうのは、ツラいですね。必要以上に長く感じられてしまう面はありました。
おそらく、往年のファンが期待していたものは、例えば映画の冒頭にジョン・ウィリアムズの壮大なテーマをバックに
テロップで映画のプロローグとして状況を説明するのですが、このときのワクワク感が味わいたいのだろうと思います。
その興奮を全編にわたって継続するのは無理にしろ、映画の要所・要所でそういった興奮を味わいたいわけですね。
それは、本作でも無くはないのですが、映画の前半で一つの山場を作れなかったことと、クライマックスに向けて
テンションをMAXに持っていくような盛り上げを作れなかったのは、『スター・ウォーズ』らしさが弱く感じられたのかも。
そうなってしまうと、他のSF映画と何ら変わりないという扱いになってしまって、本作の優位性が出てこない。
そりゃ、同じ年の『マトリックス』のワイヤー・アクションを見ちゃうと、驚かされる映像という感じではなくなりますからね。
でもまぁ・・・これ観ちゃうと、たとえ不満があったとしても“エピソード2”を観なきゃと、なっちゃうんだよなぁ〜(笑)。
(上映時間133分)
私の採点★★★★★★☆☆☆☆〜6点
監督 ジョージ・ルーカス
製作 リック・マッカラム
脚本 ジョージ・ルーカス
撮影 デビッド・タッターサル
特撮 ILM
音楽 ジョン・ウィリアムズ
出演 リーアム・ニーソン
ユアン・マクレガー
ナタリー・ポートマン
ジェイク・ロイド
イアン・マクディアミッド
ペルニラ・アウグスト
テレンス・スタンプ
サミュエル・L・ジャクソン
アンソニー・ダニエルズ
ケニー・ベイカー
ソフィア・コッポラ
キーラ・ナイトレイ
1999年度アカデミー視覚効果賞 ノミネート
1999年度アカデミー音響賞 ノミネート
1999年度アカデミー音響効果編集賞 ノミネート
1999年度ゴールデン・ラズベリー賞ワースト作品賞 ノミネート
1999年度ゴールデン・ラズベリー賞ワースト助演男優賞(ジャー・ジャー・ビンクス) 受賞
1999年度ゴールデン・ラズベリー賞ワースト助演男優賞(ジェイク・ロイド) ノミネート
1999年度ゴールデン・ラズベリー賞ワースト助演女優賞(ソフィラ・コッポラ) ノミネート
1999年度ゴールデン・ラズベリー賞ワースト監督賞(ジョージ・ルーカス) ノミネート
1999年度ゴールデン・ラズベリー賞ワースト脚本賞(ジョージ・ルーカス) ノミネート
1999年度ゴールデン・ラズベリー賞ワースト・スクリーン・カップル賞(ジェイク・ロイド、ナタリー・ポートマン) ノミネート