ノラ・ジョーンズ/ジャパン・ツアー2022

Norah Jones/Japan Tour 2022

2022年10月11日(火)[札幌文化芸術劇場 hitaru]

        

01 Just Little Bit ジャスト・リトル・ビット
02 Thinking About You シンキング・アバウト・ユー
03 Say No More セイ・ノー・モア
04 Sunrise サンライズ
05 Something Is Calling You サムシング・イズ・コーリング・ユー
06 This Life ディス・ライフ
07 Long Way Home ロング・ウェイ・ホーム
08 All A Dream オール・ア・ドリーム
09 4 Broken Hearts フォー・ブロークン・ハーツ
10 Young Blood ヤング・ブラッド
11 Humble Me ハンブル・ミー
12 Falling フォーリング
13 I'm Alive アイム・アライヴ
14 Flame Twin フレイム・ツイン
15 Come Away With Me カム・アウェイ・ウィズ・ミー
16 Don't Know Why ドント・ノウ・ホワイ
アンコール
17 Nightingale ナイチンゲール
コロナ禍になってから、ずっとコンサートが催されず、当然、コンサートへ行けない時期が長く続いて、
正直言って、僕はずっとイライラしていました(笑)。そんな中で、日本も情勢が少しずつ緩和されてきて、
タイミング良く、ノラ・ジョーンズが5年ぶりに来日公演を行うということで、思い切って見に行くことにしました。

いざ行ってみると、ノラの公演自体は90分ほどでしたが、その前に約45分の前座があり、
内容的に凄く充実したものでした。前座はブラジル出身のロドリゴ・アマランテというミュージシャン。
だいたい10曲、ラテン語と英語の曲を織り交ぜながら、ギター弾き語りがメインで最後はピアノ弾き語りでした。

ロドリゴ・アマランテは日本のことを勉強してきているのか、
海外アーティストとしては珍しいくらい低姿勢な人で、何度も何度もお辞儀して、日本語でMCをしたりと、
感謝の気持ちがよく伝わる、凄く人の好さそうな人でしたね。きっと、今回の来日で注目されることでしょう。

まぁ、正直言って、僕はノラ・ジョーンズをほとんど聴いていませんでした。
でも、どうしてもライヴがあったら行きたいとウズウズしていて、彼女のようなビッグネームが来るとなれば、
ファースト・アルバムだけ買って“予習”して、たまにYoutubeでライヴ動画を観たりして、会場へ向かったわけです。

それにしてもノラはスゴいですね。やっぱりグラミー賞受賞歌手ですよ。
この日、札幌文化芸術劇場 hitaruですが、約2,000人を動員してチケットは完売寸前だったみたいですよ。
正確にはコロナ禍がまだ終焉していないし、ましてや平日火曜日の夜という日程の中で、あれだけの観客動員が
札幌で出来るというのは、海外アーティストとしてスゴいと思います。ノラの日本での根強い人気が伺えます。
(まぁ・・・コロナ禍突入後、来道した初めての海外アーティストだったというのもあるかもしれませんがね・・・)

開演30分前から始まった前座のロドリゴ・アマランテが予想外に長くって、
開演予定時刻をまたいで一旦終了。結局、ノラがステージに上がってきたのは、開演予定時刻の30分後でした。

ノラのスモーキーなヴォーカルは健在。ほぼデビュー当時から、声は変わっていないように思います。
ルックスはデビュー仕立てのお姉ちゃん風な感じからは、今はオトナの女性という感じになってましたが、
冒頭からキーボード弾いたり、8,9曲目ではギターを弾いたり、それ以外はピアノ弾いたりと、とても多才な方です。
そして、ギターなんかはかなり上手いですね。特にブルージーなフレーズ混ぜて、ルーツ・ミュージックの感覚に近い。

さすがは名門、ブルーノートのレーベルが発掘したミュージシャンなだけあります。

まぁ、確かに盛り上がるライヴというのとは少し違うし、客層も落ち着いた大人の方々が多い。
コロナ禍だし、こういうライヴから徐々に企画が増えていくというのは、自然な流れなのかもしれません。
会場も荘厳な雰囲気があるし、キング・クリムゾン≠謔閧ヘノラの音楽の方が会場の雰囲気に合っているかも(笑)。
(4年前にキング・クリムゾン≠フライヴを見たのも、この札幌文化芸術劇場 hitaruでした)

演奏曲としては、ヒット曲 Sunrise(サンライズ)は歌い始めると、一際大きな拍手が。
僕自身も正直言って、知らない曲が多かったですけど、Sunrise(サンライズ)は感動的なパフォーマンスでしたね。

途中、Falling(フォーリング)では前座を務めたロドリゴ・アマランテを呼んでコラボレーションしましたが、
ノラもこういう新たなアプローチを模索しているのでしょうね。少しずつ異国情緒ある雰囲気を出したいのかな。

終盤に演奏した Flame Twin(フレイム・ツイン)は実にクールでカッコ良いなぁと思いましたね。
僕はこの日に演奏した曲としては、この Flame Twin(フレイム・ツイン)が最も印象に残りました。
アレンジもあったのでしょうけど、ノラの独特な世界観で表現される曲ではなく、どことなくソリッドな感じでした。

この辺はドラムを叩いたブライアン・ブレイドのおかげでしょう。
ノラの多くのアルバムでドラムとして参加しているだけあって、ノラとの息もピッタリでアレンジも自由自在。
会場のファンの歓声も、やっぱりブライアン・ブレイドが紹介されたときは、一番大きかったのではないかと思いますね。

まぁ、ジョニ・ミッチェルやウェイン・ショーターらのアルバムに参加しただけあって、
ブライアン・ブレイドは実力あるジャズ・ドラマーですが、多様な魅力を引き出す素晴らしいドラマーですね。
リーダー・アルバムも何枚か発表しているくらいですから、ソロ・ミュージシャンとしても評価が高いのも頷ける。

コンサートも終盤に差し掛かって、予習して覚えていた Come Away With Me(カム・アウェイ・ウィズ・ミー)は
「おっ、コレコレ」という感じでしたが、結構、アレンジが加わっていて面白かったですね。
でも、やっぱり売れに売れたデビュー・アルバムだっただけに、発売当時も大きな話題になっていたのは
覚えていますけど、約20年が経った今でも洗練された空気を帯びていて、全く古びていないですね。

熱心なファンの方なら違う意見なのかもしれませんが、アンコール前の Don't Know Why(ドント・ノウ・ホワイ)は
やっぱり僕の中ではこの日のハイライト。ノラが最初に世界的に評価されることになったヒット曲ですからね。
シンプルながらも煌びやかなライティングの効果もあり、ノラの落ち着いた世界がなんとも居心地が良い。

前回のツアーまでは、20曲くらい演奏していたようですが、
この日はアンコールの Nightingale(ナイチンゲール)を入れて、全17曲で約90分の演奏でした。
前座のロドリゴ・アマランテのステージの時間を加えると、2時間を超えるステージとなります。
ただ個人的にはロドリゴ・アマランテの前座は良かったけど、さすがに45分くらいあったのは長過ぎたかな。

やっぱり、ほとんどの人はノラのステージを見に来ているので、前座は30分以内が丁度良いかと。
前座45分のステージの後に15分の休憩があるというのは、ノラのステージが始まる前に間延びした感が・・・。

しかし、札幌文化芸術劇場 hitaruでコンサートを観賞したのは今回が2回目ですが、
前回のキング・クリムゾン≠ェそんな客足が良くなかったというのもあったのかもしれないけど、
コンサートホール自体はビルの4階が入口で5階から9階までが客席になっているという構造で、
今回のノラの公演は全ての階の席を開放していたので、終演後は規制退場を実施したとは言え、
これだけの観客動員があると、ビルそのものから退出するのに、異様に時間がかかるのはネックですね。

ビルの中にあるせいか、出口となる動線が収容人数を効率良く退場させるに向いていないと感じました。

良いホールだし、客席にいる分には音もなかなか良いと思いますが、
客席の傾斜も緩めで、入場時に注意されていたように、前方の席の人が前のめりになると、もうステージが見えない。
(まぁ・・・ドーム球場とかでアリーナ席の中途半端な列の席になった時と比べると、まだマシだけど...)

とまぁ・・・自分のワガママなところで後味が悪くなりましたが、
久々のライヴ観賞で、ウキウキ・ワクワクの感覚は蘇ったのが素直に嬉しい。また、機会があれば行きます!