ナショナル・トレジャー2/リンカーン暗殺者の日記(2007年アメリカ)

National Treasure : Book Of Secrets

久々の冒険活劇でヒットした04年の『ナショナル・トレジャー』の続編。
まぁ僕は、観る前の予想よりもずっと面白い内容だったから安心したけど、確かに過度な期待はご法度。
前作の良いところとして、映画のテンポの良さは踏襲したけれども、相変わらずのご都合主義。
まぁ・・・でも、仕方ないよね。こうしないと、映画は進められないだろうし。。。

それよりも何よりも、僕はニコラス・ケイジの変な髪形が気になって仕方がなかったぁ!(笑)

思えば、この頃に彼が出演していた『NEXT −ネクスト−』も『バンコック・デンジャラス』も、
同じような何とも形容し難い、変な髪形をしていて、何のための髪型なのか僕にはよく分からないのですが、
いずれにしても何て時代遅れなヘアスタイルなのだろうかと、映画の本編とは関係ない嘆きが(苦笑)。。。

どうやら、そこまで高くは評価されなかったみたいだけれども...
僕としては、これぐらいエンターテイメントに徹してくれた冒険活劇としては、十分に及第点レヴェル。
さすがに『インディ・ジョーンズ』シリーズに匹敵するとまでは言わないけれども、
昨今のアドベンチャー映画としては、十分にオススメできるレヴェルにはあると思います。

第1作に続いて、キャスティングがまた随分と贅沢な感じで、
久々にジェリー・ブラッカイマーの大盤振る舞いな企画って感じで、ひじょうにバブリー(笑)。
やっぱり彼は『パイレーツ・オブ・カリビアン』シリーズの世界的な大ヒットが効きましたねぇ。
彼が経済的な意味合いでも、復調しない限り、こういった企画はありえなかったでしょうし。

但し、前作に引き続いて、アメリカ史に詳しくないとストーリーの理解に苦しむかもしれません。
さり気なく、ジャスティン・バーサ演じるゲイツのアシスタントのマニアックなツッコミなど、
アメリカ史に詳しい人なら分かってもらえるジョークなんかもあって、その全ては日本人にはキビしいかも。

そもそもが色々な謎を解くためにバッキンガム宮殿やホワイトハウスに忍び込むって発想が凄いが(笑)、
今回は合衆国大統領を騙してまでも2人っきりになって、秘密を聞き出そうとする展開にはビックリ(笑)。
(「さすがに、それはヤバいだろ...」と心の中でツッコミを入れてしまいました・・・)

そんな合衆国大統領を演じたのは、ブルース・グリーンウッド。
00年の『13デイズ』でケネディ大統領に挑戦して話題となりましたが、すっかり大統領が似合ってますね(笑)。

前作のヒットでプロダクションの本作に対する期待度が高かったのか、
本作では映画の前半に、ロンドン市街地でのド派手なカー・チェイスがあります。
これはおそらく映画のハイライトになるでしょうね。それぐらい、昨今の映画としては異例な規模です。
荷台にビールを積んだトラックがビールを街にまき散らしながら、疾走するシーンなど、
随所にCGを使っての映像表現ではありますが、よくぞここまでやったなぁと久々に感心してしまいました。

ひょっとしたら、この一連のカー・チェイスのシーン自体も、
ジェリー・ブラッカイマーのプロダクションだからこそ出来た芸当だったのかもしれません。

ただ、そのせいか今回、アンバランスになってしまったのは、
明らかに映画のクライマックスに盛り上がりが欠けてしまったということ。
確かに数人がバランスを取りながら、グラグラ動く岩盤からハシゴへと飛び移るシーンなど、
活劇性に満ち溢れたシーン演出はあるのですが、どうもイマイチ盛り上がりに欠ける気がしてなりません。

ですから、基本的に映画のテンションを高く感じたのは中盤までで、
肝心かなめのクライマックスにかけて、徐々に映画のテンションが落ちていくのを感じたのは残念でしたね。
(あくまで映画のペース配分という意味では、前作の方が上手くいっていたかもしれません)

それと、もう一点。
個人的には、せっかく今回も前作に続いて出演してくれたわけだし、
ゲイツらの行動を常に監視し続けるバーベイ・カイテル演じる刑事のセダスキーの存在を、
もっと有効に使って欲しかった。さすがにこれでは凄く勿体ないことをしていると言わざるをえません。
登場時間そのものも短いし、もっとメイン・エピソードに絡ませて欲しかったかなぁ。
でないと、ゲイツとの不思議な関係など、存在意義を作れていない気がします。

かなり辛らつな言い方をすれば、このままの状態では、
別にハーベイ・カイテルでなくとも、十分に務まるチョイ役に等しいと思えてしまうのですよね。
それじゃ、ただ単に製作費を浪費していると言われても仕方がないと思うし、第一、意味がないのです。

とは言え、僕はここまで元気なアドベンチャー映画、
最近の映画界としてはとっても貴重な存在で、大切にしなきゃならないと思うんですよね。

どうも第3作の存在を匂わせるような節(ふし)もあり、
本作がニコラス・ケイジ主演作として、過去最高の興行収入だったせいか、
まだシリーズが続く余地を残しているかのようですが、10年現在、まだ第3作製作の発表はありません。
(大統領が「47ページは読んでおけ」とゲイツに言いますが、この真意は本編で触れられていない・・・)

まぁ・・・ひょっとしたら、幼い頃に観ていたら、もっと夢中になっていたかもしれませんが、
いずれにしても昨今、貴重となったファミリー向けアドベンチャー映画としては十分に楽しめる出来。
アメリカ史の勉強の入口にもなるし、意外にタメになる映画なのかもしれません(笑)。

それと、第3作を作るなら、作り手にお願いしたい。
ゲイツのガールフレンド、アビゲイルをこれ以上、悪く描かないで欲しい(笑)。
もう今回はゲイツの問いに対しては、意地悪な回答しかせず、オマケにホワイトハウスの学芸員と
いい仲になるなど、印象的には散々な存在に成り下がってしまい、映画のヒロインとして輝いていない。

これは、エンターテイメントとしてはやってはいけないことの一つではなかろうか?

(上映時間124分)

私の採点★★★★★★★★☆☆〜8点

監督 ジョン・タートルトーブ
製作 ジェリー・ブラッカイマー
    ジョン・タートルトーブ
原案 テッド・エリオット
    テリー・ロッシオ
    コーマック・ウィバーリー
    マリアンヌ・ウィバーリー
脚本 コーマック・ウィバーリー
    マリアンヌ・ウィバーリー
撮影 ジョン・シュワルツマン
    アミール・モクリ
編集 ウィリアム・ゴールデンバ−グ
    デビッド・レニー
音楽 トレバー・ラビン
出演 ニコラス・ケイジ
    ジョン・ボイト
    バーベイ・カイテル
    エド・ハリス
    ダイアン・クルーガー
    ジャスティン・バーサ
    ブルース・グリーンウッド
    ヘレン・ミレン
    タイ・バーレル
    マイケル・メイズ

2007年度ゴールデン・ラズベリー賞ワースト主演男優賞(ニコラス・ケイジ) ノミネート