ミート・ザ・ペアレンツ2(2004年アメリカ)

Meet The Fockers

00年に製作された大ヒットしたコメディ映画の続編。
今回はグレッグの両親として、ダスティン・ホフマンとバーブラ・ストライサンドが出演という大盤振る舞いだ。

前作はロバート・デ・ニーロ演じるジャックの異常なまでの堅物ぶりを楽しむ内容でしたが、
今回はジャックとは正反対に、トコトン陽気なグレッグの父親を演じたダスティン・ホフマンが大暴れ。
おかげで(?)、映画に新たな魅力が加わり、前作よりは面白かったように思いますね。

まぁ前作にあった、コメディ映画としての中途半端さというのが解消され、
ダスティン・ホフマンを徹底的に陽気に演じさせることによって、良い意味でアクセントが付いたと思います。

前作の時点でそうだったのですが、
デ・ニーロも本作の企画にそうとう熱が入っていたようで、続編を製作するにあたって、
よりによって、ダスティン・ホフマンにグレッグの父親役をオファーするとは、凄い贅沢な発想だ。

映画はようやっとジャックに“信頼の輪”に入れてもらったグレッグは、
婚約者パムとの結婚の最終試験とも言える、ジャックをグレッグの両親に会わせることに。
ジャックとはまるで正反対な生き方を続ける自分の両親に、ジャックを会わせることにグレッグは不安を感じ、
慌てふためくが、パムが妊娠していると告白したことから、更にジャックへの秘密は大きくなる。
そこで様々な“爆弾”を抱えたまま、グレッグの両親が暮らすフロリダへと、旅行に出る様子を描いています。

監督は前作と同じく、ジェイ・ローチでひじょうに手堅い演出だ。
前作よりもかなりオーソドックスなコメディ映画の撮り方をしているようで、前作の反省を活かしているようだ。

まぁさすがにジェイ・ローチは『オースティン・パワーズ』を撮ったディレクターなだけに、
本作は前作を比べると、下ネタを大幅に増強させたような内容で少しイージー過ぎる面もありますけど、
この辺は出演者たちも楽しそうに演じ、一つ一つのギャグがクドくなり過ぎないように配慮されているだけに、
まぁシリーズの宿命というか、不可避なネタであったと解釈するしかないのかもしれません。

例えば、前作でもジャックの異常なまでの堅物ぶりを楽しむ趣向はありましたが、
本作では念願の孫が誕生し、徹底した英才教育を施すエピソードがある中で、
しばらく母親から預かるために、母乳を瓶に貯めておいて、授乳するためのレプリカを用意して、
ジャック自ら、そのレプリカを装着して授乳するなんて、もはや変態の域だ(笑)。

それだけでなく、グレッグの過去に疑いがあるがために、
トイレで2人っきりになったときに、自白剤を注射してまでもグレッグを追い詰めるなんて、
いくらなんでもやり過ぎだ。そういう意味ではジャックのキャラも、徐々に過激になっていってますね。

が、対するグレッグの両親もやり過ぎなまでのおせっかいキャラで、
良く言えば、明るい両親なんですが、少なくとも自分がグレッグの立場だったら、会わせたくない存在だ(笑)。

勝手に自分の初体験の話しを食事中にバラされるし、
パムが妊娠したという秘密にしても、少なくともジャックが知ったとすれば、
結婚自体が破綻に追い込まれる可能性があったのに、一方的にバラして、一緒に喜ぼうとする。
つまりは、これはジャックにしても同様なのですが、自分本位な生き方をしているわけで、
他の価値観の存在を受け入れられず、自分のペースで生きることを最優先しようとするのです。

おそらく自分の親だったら、この上なく、余計なおせっかいばかりかける存在になるでしょうね(苦笑)。

とは言え、映画もラストで上手くまとめます。
パムの両親にしても、グレッグの両親にしても、お互いに争っていることが、
パムとグレッグの結婚とは、まるで違うところで争っていることを忘れており、
グレッグが「結婚するのはパムと僕だよ!」という一言で、ようやっと気づくのです。

まぁ見方を変えれば、結婚は当人たちだけの問題ではないというのは
世界共通の摂理という見方もできるのですが、映画の最後は常識的な帰結に落ち着きます。

それと、オーウェン・ウィルソン演じるパムのかつての恋人ケビンもラストに登場。
「安心しろ、グレッグ。彼女とは精神的な結びつきはなかった」と煽ってるんだか落ち着かせてるんだか、
よく分からない発言をした上、誓いの儀式の最中も、ずっとパムを見つめるというのがチョット面白い。

どうせなら、彼をもっとメイン・ストーリーに絡めても面白かった気がするのですが、
グレッグとパムの関係が強固なものであることが前提で話しが進行する中で、
ジャックとグレッグの両親にフォーカスしたかったせいか、作り手も欲は出しませんでしたね。
こうして変な欲目を出さずに、重点主義を貫いたことが、成功への架け橋だったのかもしれません。

それにしてもパムの母親を演じたブライス・ダナーは、
『恋におちたシェイクスピア』のグウィネス・パルトロウの実の母親なのですが、
年齢を重ねても、チャーミングでキレイな女優さんですね。これは強調しておきたいところ。

それにしても日本に於ける映画産業の勢いが、また衰えてきましたねぇ。
第1作が日本で劇場公開された01年頃は、もっと活気があって、第1作も大々的に劇場公開されましたが、
第1作に続いて全米では記録的な大ヒットとなった本作、日本ではヒッソリと公開され、
アッサリと劇場公開が終了になり、気づいたらDVD発売といった感じで、なんだか残念ですね。
(鳴り物入りで製作された第3作に至っては、日本劇場未公開という扱いの悪さ・・・)

僅か10年もの間で、こうも停滞してしまうとは、映画ファンとして悲しい現実ですね・・・。

(上映時間115分)

私の採点★★★★★★★★★☆〜9点

監督 ジェイ・ローチ
製作 ロバート・デ・ニーロ
    ジェイ・ローチ
    ジェーン・ローゼンタール
原案 ジム・ハーツフェルド
    マーク・ハイマン
脚本 ジョン・ハンバーグ
    ジム・ハーツフェルド
撮影 ジョン・シュワルツマン
編集 ジョン・ポール
    リー・ヘイキソール
音楽 ランディ・ニューマン
出演 ロバート・デ・ニーロ
    ベン・スティラー
    ダスティン・ホフマン
    バーブラ・ストライサンド
    ブライス・ダナー
    テリー・ポロ
    オーウェン・ウィルソン
    アラナ・ユーバック