メジャーリーグ2(1994年アメリカ)

Major League U

大ヒットした『メジャーリーグ』の続編で、ウェズリー・スナイプスを除いて前作のキャストを集めました。
日本ではとんねるず≠フ石橋 貴明が出演するという快挙があったので、劇場公開当時、話題となりました。

ただ...この続編はいかんですわ・・・(笑)。
そりゃ、第1作が大ヒットしただけあって、それを超える続編を作ることはとてつもなくハードルが高いことだ。
しかし、企画が立ち上がった以上はやらなければならないし、もっと創意工夫がある映画にして欲しかった。

ダメ出しから始まって申し訳ないけど、この映画はあまりに第1作と同じ内容にし過ぎた。
と言うか、ダメ球団が人気を取り戻していく過程を描くということであれば、どうしてもこういうストーリーになってしまう。

個人的には全く、第1作と方向性が違う内容にした方が良かったのではないかと思いました。
これでは完全に二番煎じ。映画の作り方がどうとか言う以前に、ストーリーの時点で僕は引っかかってしまう。
この内容ならば、わざわざ続編を製作する意味が分からない。かと言って、キャラクターが“立って”いる映画でもない。
主要登場人物は第1作とほぼ一緒で、石橋 貴明演じる日本人メジャーリーガーが加わったことくらいしかない。

この頃の石橋 貴明を知っていれば、この程度で爆発力のあるキャラクターを見せてくれたとは言い難い。
やはりハリウッドのデカいスタジオともなれば、色々と制約はあったのだろうし、自由度は低かったのでしょう。
彼とホワイトソックスに移籍するパークマンしか新加入のプレーヤーがいないので、もっと派手にやって欲しかった。

確かに日本人を「ジャイアンツから獲得した」と言われ、「サンフランシスコか?」と逆質問され、
オーナーは黙ってしまうのですが、実は読売巨人ジャイアンツから獲得したというローカルなギャグは面白い。
けど・・・これって、アメリカの人々に理解してもらえるギャグだったのかな?と、疑問に思いましたね。

物語の展開としては、優勝を果たした弱小チームだったクリーブランド・インディアンズが翌年、
地元からは連覇を期待されるものの、オフにすっかり浮かれていた主力選手たちがキャンプから不調で
シーズンイン後もまるで調子が上がらず、補強のために獲得したパークマンもチームに全く馴染もうとせず、
収益性の悪化からチームもパークマンを手放し、球団のオーナーも元に戻って、地元からの風当たりも強くなる。

そこで監督代行としてベンチを預かったベテラン捕手のジェイクが選手たちを鼓舞し、
なんとかシーズンの巻き返しを図る姿を描くというもので、大筋で第1作と同じような構成となっています。

まぁ、オフにサボったツケが翌年に回ってくるというのが前作との違いではあって、
これは現実のスポーツ界でもありがちな話しですけど、チャーリー・シーン演じるリッキーが前年では
最速154km/hの真っ直ぐを投げていたというのに、翌年は139km/hしか出ないという極端さがスゴい。
怪我したり、トミー・ジョン手術を受けたわけでもないのに、半年程度でここまで球速が落ちることは考えにくいけど、
刑務所上がりの不良投手だったリッキーが、オフにはすっかりビジネスマンになっているのが印象的だ。

これだけ状況が様変わりしていれば、リッキーは完全に鍛錬をサボっていたということなのでしょう。

しかし、チョット面白いのはリッキーは変化球を一生懸命磨いていたという点で、
先発完投型の投手を目指すという意味では、基本は真っ直ぐが重要なのだけれども、良い意味で手を抜きながら
投げて相手打線を抑えられるようにならなければ、先発完投型の投手として長い活躍ができないみたいで
このリッキーの考えは、決して間違いではなかったと思いますが、磨いてきたという変化球が中途半端だった。

だから、シーズンに入れば、真っ直ぐはえらく遅くなっているし、変化球も大したことがない。
それでは当然、相手打者からしてもリッキーに圧倒感がないから、攻略するのが容易くなってしまうのでしょう。
昨年の活躍がウソのようにコテンパンに打たれまくるので、リッキーはすっかり自信を失ってしまいます。

日本のプロ野球でもよくあることですが、単年の活躍で年俸が一気に上がるものの、
翌年はサッパリになって、その一年がピークで終わってしまうという、いわゆる“2年目のジンクス”。
リッキーもそれにハマりそうになっていたのは事実だろうし、自信を失ってしまうと立ち直るのが大変ですね。

一方で、前作のウェズリー・スナイプスから本作ではオマー・エップスに交代したウィリーですが、
オフに映画俳優としての仕事を引き受け、激しいアクション映画に出演した際に膝を悪くしたから、
球団にそれを隠すためにパワーアップしまくって、キャンプではホームランを連発するというのはユニークな発想。

現代野球では1番バッターや2番にホームラン打てるスラッガーを置くという打線はあり得るのですが、
この頃はまだ上位打線は足が速い選手という決まり事があったので、ホームランを打っても評価しないと、
監督が公言しているシーンがありました。まぁ・・・今も長打力があっても、出塁率が高くないと上位にはなれませんが。

ただまぁ・・・プロのアスリートですからね。オフに何やろうが自由だとは思いますが、
さすがにシーズンインしてからも影響が出るような怪我をしてしまっては、アスリート失格ですね。
まぁ、元々寄せ集めのようなチームでしたから、こういうプロの意識に欠けるプレーヤーが多くいたということです。

こういった細かい部分をクローズアップしたり、試合のシーンは前作に比べて増えてはいますが、
トム・ベレンジャー演じるジェイクが選手としてお払い箱になってしまった設定なのも残念で、
ジェイク抜きで第1作とほぼ同じ展開になって、如何に弱小チームが立ち直っていくかを描いています。
これが既視感ある内容になってしまっていて、映画自体が淡泊なものに見えてしまうのが残念でしたね。

それから、ジェイクの恋人役だったレネ・ルッソですよ〜。彼女の出番がほとんどなくって、チョイ役扱い。
これはホントに勿体ない。第1作では、まぁまぁ存在感があったにも関わらず、本作ではたったの1シーン。

色々と観返すと、本作が何故、劇場公開当時の評判が芳しくなかったのかも、よく分かる。
この作品を観ていて、最も気になったのは、スタジアム全体を覆う熱気やファンの熱狂ぶりというのが、
前作よりも相当薄くなったように感じられたことで、クライマックスの試合シーンにしても沸き立つものが無い。

この試合シーンでの臨場感や迫力の欠如というのは、本作にとって致命的でしたね。
あの有名なテーマ曲にしても、スタジアムの臨場感があってこそ映える部分がありましたからねぇ。
この辺は作り手も、もっと意識してスタジアムの空気を画面にしっかりと吹き込んで欲しかったですね。

本シリーズは98年に第3作が製作され、さすがにネタ切れだったのかヒットせずにシリーズ最終作になりました。
第1作から監督していたデビッド・S・ウォードや、メイン・キャストであったトム・ベレンジャーにチャーリー・シーンも
第3作には出演しなかったことも大きかったでしょう。さすがにジェイクとリッキーがいないと、別な映画ですよね。
しかもこの第3作、ほとんどマイナーリーグを舞台にした映画だったようで、原題から遠く離れてしまったようだ。

やはり、こういう変遷を見ていると、如何にシリーズ化させることが難しいかを悟らされますね。
本作もデビッド・S・ウォードも引き受けたはいいが、どうしても第1作のコピーみたいな映画になってしまって、
これ以上、シリーズを継続させることに限界を感じていたと思う。思いっ切り野球映画ですから、幅も持たせづらい。

つまらないことではありますが、第1作から5年ほど経って製作された第2作でしたから、
さすがにキャストがそれぞれ年をとったのが顕著なのがツラい。だって、あくまで第1作の翌年という設定なので。

本作のトム・ベレンジャー演じるジェイクは、現役に対するこだわりを映画の前半で見せていますが、
客観的に見ると、どう見ても現役のメジャーリーガーって体つきではなく、中年体型ですからねぇ。
まぁ、この辺が本作の限界を示しているんだけど、当時はヒット作のシリーズ化って一つのフォーマットだったからなぁ。

ハリウッドのプロダクションのことだから、しっかりとマーケット・リサーチして映画化してるとは思いますが、
この時代のシリーズ映画って、あんまり当たらなかったし、日本では劇場公開されなかったのも結構ありました。
本作も正直なところ、石橋 貴明が出演していなかったら、どうなっていたか分からないですよねぇ・・・。

(上映時間105分)

私の採点★★★★★☆☆☆☆☆〜5点

監督 デビッド・S・ウォード
製作 ジェームズ・B・ロビンソン
   デビッド・S・ウォード
脚本 R・J・スチュワート
撮影 ビクター・ハマー
音楽 ミシェル・コロンビエ
出演 トム・ベレンジャー
   チャーリー・シーン
   コービン・バーンセン
   デニス・ヘイズバート
   ジェームズ・ギャモン
   オマー・エップス
   エリック・プラスコッター
   ボブ・ウェッカー
   デビッド・キース
   レネ・ルッソ
   石橋 貴明
   ランディ・クエイド
   アリソン・ドゥーディ
   ミシェル・バーク
   マーガレット・ホイットン