エリック・クラプトン/ジャパン・ツアー2014

Eric Clapton/Japan Tour 2014

2014年2月23日(日)[横浜アリーナ]

       

01 Pretending プリテンディング
02 Key To The Highway ハイウェイの関門
03 Tell The Truth テル・ザ・トゥルース
04 Hoochie Coochie Man フーチー・クーチー・マン
05 Honest Man オーネスト・マン
06 Wonderful Tonight ワンダフル・トゥナイト
07 I Shot The Sheriff アイ・ショット・ザ・シェリフ
08 Driftin' ドリフティン
09 Nobody Knows You When You're Down And Out だれも知らない
10 Alabama Woman アラバマ・ウーマン
11 Layla いとしのレイラ
12 Tears In Heaven ティアーズ・イン・ヘヴン
13 How Long ハウ・ロング
14 Before Accuse Me (Take A Look At Yourself) ビフォア・アキューズ・ミー
15 Crossroads クロスロード
16 Little Queen Of Spades リトル・クイーン・オブ・スペーズ
17 Cocaine コカイン
アンコール
18 High Time We Went ハイ・タイム・ウィ・ウェント
03年の来日公演のときも、同じような宣伝文句を聞いたが(笑)、
ついにクラプトンは最後の来日公演を決意したらしく、パンフレットにファンへの挨拶を和訳している。

そこには「できることなら戻ってきたいが・・・」とか、
「ついに終わりを迎えることになりそうだ」とか、「今は家族との時間の方が魅力的なんだ」とか、
色々とワールド・ツアーを終わらせることの説明をしているようで、意味深長でした。

2013年の秋に、どこかのフェスティヴァルに出演した際のクラプトンの映像を事前に観ていましたが、
正直言って、2011年に札幌にスティーヴ・ウィンウッドと一緒に来た来日公演を見たときの印象よりも、
更に痩せているように見え、一気にお爺ちゃんのように老け込んでしまった姿を観て、チョット心配になった。

さすがに2006年や2009年のツアーのときのように、何回も公演回数がないし、
当たり前のように札幌公演は組み込まれてないので、日曜日の横浜公演まで遠征することにしました。

横浜アリーナは初めて行きましたが、やはり広いですねぇ〜。
99年の横浜アリーナ公演が当時、NHK-BSで放送されていましたが、
座席が少しだけくたびれたように見えた以外は(笑)、会場の外観は立派なものだし、
新横浜駅からのアクセスも便利だし、クラプトンの公演にしては珍しくステージの両サイドにスクリーンがあるし、
音もとてもクリアで音響スタッフの仕事も良く、とても環境的には良いように感じましたねぇ。

当初はウドーのチケット先行予約で購入したのに、
アリーナ席の20列目と期待させる配置でありながら、会場の座席を調べてみると、
横浜アリーナのアリーナ席とは、一般のアリーナとは違って、2階席のようなスタンドであることを知り、
チョット残念だったのですが、実際に座った席は予想していたより見易い席で安心しましたね。

開始は17時からの予定でしたが、12、3分ほど開演が遅れ、
おおむね2時間ほどのステージで、アンコールは相変わらずクラプトンは歌わずに終わってしまいました(笑)。

そそくさとステージに上がってきたクラプトンは何故か寝癖が付いたままのように見え、
仮にあれが故意に作られた髪型だったとしたら、スタイリストのセンスを疑いたくなりますね(笑)。

個人的には、そこまでクラプトンの体調は悪くなさそうに見えましたが、
どことなく気になったのは、冒頭のPretending(プリテンディング)はソリッドでカッコ良い出だしで大正解なのですが、
幾度となく歌いだしをトチったり、ムスッとして歌っている様子に見え、あまり集中できていないのが気になりました。

まぁ・・・Key To The Highway(ハイウェイの関門)でのギター・ソロから、
そんな様子は微塵にも感じさせなくなったのですが、これが結果的に最後まで引っ張ってしまったかなぁ。

今回はギターがクラプトンだけですから、
バッキングも含めて、一切、力を緩めることなく、全編、引き倒した感じなのですが、
確かにやたらと、オルガンのポール・キャラックを持ち上げる演出が多かったかなぁ。

Honest Man(オーネスト・マン)とHow Long(ハウ・ロング)はポール・キャラックの曲で、
メイン・ヴォーカル取らせることは言うまでもなく、アンコールのジョー・コッカーのカヴァーである
High Time We Went(ハイ・タイム・ウィ・ウェント)までもポール・キャラックに歌わせてしまいます。

Tell The Truth(テル・ザ・トゥルース)、Hoochie Coochie Man(フーチー・クーチー・マン)と、
ある意味ではクラプトンの“鉄板メニュー”で徐々にテンションを上げていき、
Wonderful Tonight(ワンダフル・トゥナイト)はよりオリジナルに近い、テンポを上げてアッサリしたヴァージョン。

そして、きました、きました!!
本公演、最大のハイライトと言っていい、I Shot The Sheriff(アイ・ショット・ザ・シェリフ)の登場です。

本公演以前の日本武道館での3日間は、全てAfter Midnight(アフター・ミッドナイト)で
クラプトンはあまり大きくセットリストを変えるタイプではないですから、あまり大きな期待はしていませんでしたが、
このI Shot The Sheriff(アイ・ショット・ザ・シェリフ)の後半のギター・ソロはホントに素晴らしかった。
03年の札幌公演以来、久しぶりにI Shot The Sheriff(アイ・ショット・ザ・シェリフ)をライヴで聴きましたが、
3分はあったと思われる終盤のギター・ソロは圧倒的な迫力を持っており、文句なしのこの日のハイライト。

アコースティック・セットに入ってからは、
Nobody Knows You When You're Down And Out(だれも知らない)が良かった。
久しぶりにTears In Heaven(ティアーズ・イン・ヘヴン)は何故かレゲェ調にアレンジされていましたが、
今回はアコースティック・セットでもしっかりと時間を取っており、クラプトンなりに意図はあったと思います。

冒頭に燃えるようなギター・ソロを演奏したHow Long(ハウ・ロング)から、
再びエレクトリック・ギターでのセットに移ってからは、じっくりクラプトン節を堪能できました。

Before You Accuse Me (Take A Look At Yourself)(ビフォア・ユー・アキューズ・ミー)は
初めてライヴで聴きましたが、元々、生音っぽいスタジオ・テイクだっただけに、これはライヴ映えしますね。
そしてLittle Queen Of Spades(リトル・クイーン・オブ・スペーズ)のギター・ソロで、再び爆発(笑)。

この頃には、クラプトンも笑顔でステージをこなしていましたから、
すっかり機嫌を直したかと思っていたのですが、しきりに時間を気にしているように、
アンコール前のCocaine(コカイン)あたりからは、またクラプトンに落ち着きが無くなってしまいます。

お約束のアンコールですが、事前に言われていた通り、
不評のHigh Time We Went(ハイ・タイム・ウィ・ウェント)でクラプトンが歌わないという予想外の結末(笑)。

最後にバンド・メンバーで一礼するというお約束も無く、
客席に挨拶するベースのネーザン・イーストに早く引き上げるようにクラプトンが促す姿も。
まぁ・・・こういうクラプトンがいたのも、幾つか理由が考えられますが、どこか腑に落ちない部分があるのでしょう。

今までクラプトンがアンコールに2回応じたって話しを聞いたことがないので、
High Time We Went(ハイ・タイム・ウィ・ウェント)が終わった途端、メンバーがステージから引き上げるのを観て、
「あぁ、終わってしまったか...」と何とも言えない感情がこみ上げてきたのも複雑でしたが、
予想通り、すぐに客電が点いて、どことなく会場も微妙な空気に(苦笑)。あれは面食らったでしょうね。

会場の撤収もやたらと速く、客席から早く退場するように指示されたので、
時間的制約があったのかもしれませんが、それにしてももう少し余韻を持たせて欲しかった。

今回はさすがに「これで最後かもしれんなぁ・・・」という一抹の不安は残りましたねぇ。
突然、日本だけの特別公演!とかって、宣伝が始まるかもしれませんが、
今回はクラプトン自身が、ホントにお別れを言いに来たという雰囲気はありましたね。
だからこそ、自分が表に出ず、ポール・キャラックに歌わせたという部分があるのかもしれません。

会場を出た瞬間に、夜の横浜の寒風が身に染みましたが、そんな寂しさも身に染みましたね・・・。