ブリジット・ジョーンズの日記 きれそうなわたしの12か月(2004年アメリカ)

Bridget Jones : The Edge Of Reason

01年に大ヒットした『ブリジット・ジョーンズの日記』の続編で、
イギリスを中心に熱狂的な支持を集めたヘレン・フィールディングの原作の映画化だ。

まぁ決して支持しないわけじゃないけど・・・
ハッキリ言って、前作の面白さと比較すると、見る影もないぐらい見劣りする内容ですね。
一つ一つのシーン演出にも勢いがあった前作と比べると、今回はかなり見劣りする。

やっぱり話題作の続編ともなると、こうなっちゃうんだよなぁ〜。
前作から3年強というブランクを空けての製作になってしまったということも悪く影響していますね。

しっかし、前作の時点で大きな話題にはなっておりましたが、
今回の続編でも主演のレニー・ゼルウィガーは、凄まじいまでの役づくりですね。よくやりますよ、ホントに。

今回も前作以上に体重を大幅に増やしたようで、
それは確かに観ただけですぐ分かるぐらいの太り方で、ロバート・デ・ニーロばりの役づくりですね。
それだけでなく、パンパンの下着を履いたり、清楚な女性というイメージをかなぐり捨てて、
徹底した結婚に焦る30代の女性を熱演しており、これは昨今のハリウッド女優としては希有な存在だ。

プライベートのレニー・ゼルウィガーって、
確か静かな人だったはずと記憶しているのですが、本作では前作以上に大暴れ(笑)。
ある意味で前作以上に彼女は気合が入っていたのかもしれませんが、少し空回りだったかも(笑)。

彼女のテンションの高さに付いて来れなかったのか、詳細はよく分かりませんが、
観ているに前作では軽薄なキャラクターに徹したヒュー・グラントがイマイチで、もっと絡んで欲しかったですね。
決してチョイ役という扱いではないのですが、もっと彼の持ち味を活かして欲しかったですね。
同じくブリジットのボーイフレンド、ダーシーを演じたコリン・ファースも今回はあまり目立たない・・・。

前作では間違いなく、映画最大の見せ場であったはずの、
ブリジットをめぐってヒュー・グラントとコリン・ファースという中年のオッサン2人が取っ組み合いのケンカを
始めるシーンが今回もあるにはあるのですが、前作ほどの勢いが無く、観ていてもあまり盛り上がらず。。。

この中途半端さにブリジットが“キレそう”だったのかもしれませんが(笑)、
いずれにしてもスタッフは前作と同じメンツを揃えた方が良かったのかもしれませんね。
特にメガホンを取るのが、ビーバン・キドロンに交代してしまったことで、この類いの映画の続編は
スタッフを代えてしまうと、映画のカラーが明らかに変わってしまって、ダメになってしまうケースが多いですね。

正直言って、本作も大枠では前作の路線を踏襲しているのですが、
どこかつながりの悪さが目立つ部分があり、ビーバン・キドロンは自分のペースに持ってこれていませんね。
まぁ独自性を持った続編でも構わないのですが、いずれにしてもビーバン・キドロンという映像作家のペースを
作り上げることができず、特にタイでのエピソードなど、どうも映画の流れが良いようには感じられません。

どうでもいいけど、本作は前述したように前作から3年のブランクがあるにも関わらず、
物語上はブリジットとダーシーは交際を始めて8ヶ月という時間の設定になっており、
レニー・ゼルウィガーの凄まじい増量を見ると、とっても6週間での変化とは信じられないですね(笑)。

まぁそういう意味では、今回の彼女の役づくり、チョットやり過ぎだったのかもしれませんね(笑)。
6週間でこれだけ目に見える形で太ったというのは、何か過度なストレスがあるか、
或いは意識して体重を増やさなければ、こんなには体型が変化することはないと思うんですがねぇ。

今回はこういう彼女のルックスからくる笑いを狙った部分が多かった気がするのですが、
ドジな部分もよりパワーアップしてて、ダーシーを絡めてさまざまな失敗をしてしまいます。

ここで一つ気になるのは、さすがにここまで恥ずかしい失敗を繰り返すブリジットの
どこにダーシーが魅力を感じているのか、映画の中では明確になっていない部分ですね。
ダーシーのような堅物ならば尚更のことですが、いくらブリジットがラヴリーだったとはしても、
ここまで彼の仕事に直接的に関係する部分で、恥ずかしい失敗があれば、交際自体も考え直すだろ?(笑)

そう考えると、ダーシーの気持ちをつなぎ止める“何か”がブリジットにあるということを
もっと強く描くべきだったと思いますし、彼女の可愛らしさを強調して欲しかったですね。
これではさすがに何故、ダーシーがブリジットと付き合い続けるのか、よく分からないですね。

それと、ダーシーに浮気の疑惑がかかるのですが、
これはいっそのこと、ダーシーが2人の女性の間で揺れ動くぐらいのエピソードにしても良かったかも。
さすがにこの映画で描かれた、彼女に関するカラクリは強い違和感を感じずにはいられなかったですね。
これはブリジットの魅力はキチッと描けていれば、別にダーシーにもう一人の女性の誘惑があっても、
納得性ある恋愛映画に仕上げることはできたはずで、僕はその方が映画も盛り上がったと思いますけどね。

確かに定番のストーリー展開にはなりますが、
僕は基本的に恋愛映画は「分かっちゃいるけど、敢えてハッピーエンドを観る」というのが
セオリーと思っているせいか、ビーバン・キドロンが恋愛映画のセオリーを踏襲できなかったのは、
本作のディレクターとしてホントに適当だったのか、どうなのかということを判断する要素だと思いますね。

ややレニー・ゼルウィガーの強烈な役づくりに依存してしまった作品に陥ってしまい、
前作ではしっかり描かれていたはずの、「体型もチョット太めで、ドジだけど、どこかカワイイ!」という
ブリジットの描写が崩れてしまい、ブリジットが愛されるキャラクターではなくなってしまったのが残念ですね。

まぁ確かにダーシーも煮え切らない男ですから(笑)、
ハッキリとしない性格が女性を苛立たせるのでしょうが、僕はそれ以前に肝心かなめの
ブリジットの描き方に賛同できなかったですね。従って、どうしてもこの続編は楽しめませんでした。

オマケに徹底した軽薄男に徹してくれるはず!と期待していたヒュー・グラントまでもが、
今一つ不発なままで終わってしまっては、どうしてもこの続編は失敗だったような気がしてならないのです。

もう続編はないでしょうけど、もし第3作があるのだったら・・・ブリジットの描き方をどうにかして欲しいですね。

(上映時間107分)

私の採点★★★★☆☆☆☆☆☆〜4点

監督 ビーバン・キドロン
製作 ティム・ビーヴァン
    ジョナサン・カヴェンディッシュ
    エリック・フェルナー
原作 ヘレン・フィールディング
脚本 ヘレン・フィールディング
    アンドリュー・デイビス
    リチャード・カーティス
    アダム・ブルックス
撮影 エイドリアン・ビドル
衣裳 ジェイニー・ティーマイム
編集 グレッグ・ヘイデン
音楽 ハリー・グレッグソン=ウィリアムズ
出演 レニー・ゼルウィガー
    コリン・ファース
    ヒュー・グラント
    ジム・ブロードベント
    ジェマ・ジョーンズ
    ジャシンダ・バレット
    サリー・フィリップス
    シャーリー・ヘンダーソン