ボズ・スキャッグス/ジャパン・ツアー2005

Boz Scaggs/Japan Tour 2005

2005年12月1日(木)[北海道厚生年金会館]

       

01 Lowdown ロウダウン
02 Call That Love コール・ザット・ラヴ
03 Slow Dancer スロー・ダンサー
04 Miss Sun ミス・サン
05 Harbor Lights ハーバー・ライツ(港の灯)
06 Vanishing Point ヴァニシング・ポイント
07 Thanks To You サンクス・トゥ・ユー
08 Sick & Tired シック・アンド・タイアード
09 Street Life ストリート・ライフ
10 But Not For Me バット・ノット・フォー・ミー
11 It Could Happen To You イット・クド・ハプン・トゥ・ユー
12 Georgia ジョージア
13 Lido Shuffle リド・シャッフル
アンコール <1>
14 We Are All Alone ウィアー・オール・アローン(二人だけ)
15 Bewitched, Bothered And Bewildered 魅惑されて
16 Runnin' Blue ランニン・ブルー
アンコール <2>
17 For All We Know フォー・オール・ウィー・ノウ
かつて伝説的ステージである、フィルモア・ウェストなどサンフランシスコを沸かせた英雄、
ボズ・スキャッグスが先月のクリストファー・クロスに続いての来日で、珍しく札幌に来ました。

最近はジャズに傾倒してるって聞いていたけれども、
これは私は不安だったんですよね。正直言って、歌もののジャズは苦手だから(苦笑)。

いざ会場に足を運んだら、最初は芳しくなかった客足も開演時間が近づくと、いつの間にか満員状態。
さすがに洋楽ファンの間では、知名度は低くないし、かつて日本でも人気があっただけに、
チケットはほぼ完売状態だったみたいですね。平日だってのに、皆さん、熱心なもんです(←人のこと言えない)。

開演時間から若干、遅れた頃に客電が落ち、颯爽と登場したボズ本人は
やや頭頂部の毛髪は薄くなり、すっかり白髪頭。随分とお太りになられたようで、
かつて高田 純次に似ていると騒がれたボズも、どちらかと言えば高田 純次の方がカッコいいかも(笑)。
(こう言うと語弊があるのかな、高田 純次がボズ・スキャッグスに似ていたのか・・・)

さしずめ風貌はイタリアン・マフィアって感じで、かつてのダンディズムは薄れたかも。。。

但し、さすがにフェイシャル・エステとかやってるのか、
驚いたのは御年61歳であるという事実で、やっぱり61歳という年齢を考慮すると、若いですわ。
独特なオーラもしっかり出ているし、ダンディズムは薄れたとは言え、若い娘(こ)もイチコロでしょうね(笑)。

いきなりダンサブルなLowdown(ロウダウン)からのスタートで、
ステージ左最前列付近で一人立ち上がって、オーバーアクションで踊っていたお嬢さん(?)がいましたが、
これはクリストファー・クロスのときのAll Right(オール・ライト)のときに一人踊っていたオッサンを思い出した。
やっぱり、こういう時間を戻す力というのは、ひじょうに大きな影響力がありますよね、ライヴって。

あまり人前で話すことが得意ではないボズらしく、MCはほとんど無く、
チョットだけ中盤は機械的にステージが進行していたかな。「一曲終わったら、はい、次!」みたいな感じで。

それと、全体的に感じていたことなのですが、
かつてのヒット曲を中心にやるのか、ジャズをやるのか、ブルースを中心にやるのか、
ボズ自身の方向性がハッキリとしないライヴで、若干の違和感があったことは否定できなかったのが残念かな。

Miss Sun(ミス・サン)やVanishing Point(ヴァニシング・ポイント)などの演奏は良かったけど、
そこからはジャズと泥臭いブルースの混在で、あっち行ったり、こっち行ったりしていた印象があります。

そして中盤にStreet Life(ストリート・ライフ)をやっていましたが、
これはクルセイダーズ≠フ曲ですね。バック・コーラスのモネットって、黒人女性とのデュエットなのですが、
それはそれは凄い迫力で、ボズを食ってしまうのではないかと心配になるほど(笑)。

そして最後はかつてのヒット曲集に戻って、
ポップなGeorgia(ジョージア)とLido Shuffle(リド・シャッフル)で一旦、〆なのですが、
さすがにここでのボズの声はキツそうだったなぁ。バックの演奏に付いていくのが、精いっぱいって感じ。
そして歌が終わった途端に、自分のギター・ソロになって、息を整え直すというイメージ(笑)。

さすがに周りの観客は、往年のヒット曲を聴きたい人が多かったようで、
アンコール前までのセットリストでは物足りなかったようで、いつもよりアンコールを求める音が大きい(笑)。

そして戻ってきました、ボズが始めたのはWe Are All Alone(ウィアー・オール・アローン/二人だけ)。
でも、これはイマイチだったなぁ。だってギター持たずに、直立不動でスタンド・マイクにつかまって歌うんだもん。
しかも表情一つ変えずに、微動だにもせず。そして歌い終わったら演奏が続くのに、客席から拍手が沸くと、
ボズは客席へ向かって、ゆっくりと一礼。まるでどっかの演歌歌手のリサイタル・ショーみたい(笑)。

こういう風に歌うのが、最近のボズの流行りなんでしょうかねぇ〜?

そして再びモネットをステージに呼び込む形で始まったアンコール2曲目が
長年、数多くのジャズ・シンガーに歌い継がれているBewitched, Bothered And Bewildered(魅惑されて)。
最初は無愛想に感じられたボズも、鳴り止まない客席からの拍手や歓声に気を良くしたのか、
「分かった、もう一曲やるよ」みたいなニヤリとした表情で、客席を指差し、ギターを持ち出して
初期の泥臭いブルースRunnin' Blue(ランニン・ブルー)。意外にも中盤でセッション調になって、アツい(笑)。

「もうこれで終わりか...」と思いきや、
何とボズご一行は2回目のアンコールにも応じ、再びステージに戻ってきました。

もう一回戻ってきたので、おそらく多くの観客が「ヒット曲をもう一曲!」と望んでいたことでしょうが、
再び始めたボズ一行はスタンダード・ジャズのFor All We Know(フォー・オール・ウィ・ノウ)。

正直、「また、これかよ...」という怒号が周囲から出るのではにないかとヒヤヒヤしましたが、
無事にコンサートは約2時間あまりのボズご一行の熱演でジ・エンド。最後まで方向性はハッキリせず(苦笑)。

ボズのギターは正直言って、そこまで良いとは思えませんでしたが、
要所・要所でボズのフレーズが目立ったりするように配慮されており、
少しリッチな時間を演出するという志向だったのかもしれませんが、いかんせんセットリストは工夫して欲しい。
この方向性のハッキリしないライヴというのは、印象がどうしても良くならないんですよね。
長々演奏が続いたセッション調のRunnin' Blue(ランニン・ブルー)なんかも、“浮いて”しまっていて勿体ない。

まぁボズは61歳という年齢を感じさせぬ、立ち振る舞いでカッコ良さは残していました。
よくポップ・スターはみんな、錆びて枯れゆくことを嫌うけれども、今回のボズを観て強く感じました。
「カッコ良く枯れていくというのは、ボズのようなことを言うんだなぁ〜」って。