ベン・フォールズ・ファイヴ/ジャパン・ツアー2013

Ben Folds Five/Japan Tour 2013

2013年2月16日(土)[昭和女子大学 人見記念講堂]

       

01 Michael Praytor, Five Years Later マイケル・プレイターの5年後
02 Jackson Cannery ジャクソン・カナリー
03 Hold That Thought ホールド・ザット・ソート
04 Selfless, Cold And Composed セルフレス、コールド・アンド・コンポーズド
05 Erase Me イレイス・ミー
06 Landed ランデッド
07 Sky High スカイ・ハイ
08 Missing The War ミッシング・ザ・ウォー
09 Battle Of Who Could Care Less バトル・オブ・フー・クッド・ケア・レス
10 Draw A Crowd ドロー・ア・クラウド
11 Thank You For Breaking My Heart サンキュー・フォー・ブレーキング・マイ・ハート
12 Brick ブリック
13 Philosophy フィロソフィー
14 Kate ケイト
15 Underground アンダーグラウンド
16 Narcolepsy ナルコレプシー
17 Army アーミー
アンコール
18 Song For The Dumped (Japanese Version) 金返せ
19 One Angry Dwarf And 200 Solemn Faces ワン・アングリー・ドワーフ・アンド・トゥー・ハンドレッド・サラム・フェイシズ
最初にベン・フォールズの音楽を聴いたのは、おそらく12〜13年前。
確かに当時、ベン・フォールズ・ファイヴ≠ニして95年に発表した1stアルバムを聴いたのですが、
エルトン・ジョンが71年に発表した実況盤17-11-70(ライヴ!!)を地で行ったような内容で、
そこにトンデモない皮肉屋な後味と、パンク・ロックのような爆発力を加味していて、一気にファンになりました。

ベン・フォールズ自身はフィアー・オブ・ポップ≠ニかソロ・プロジェクトを展開したおかげで、
来日公演を過去、1996年、1997年、1998年、1999年、2000年をベン・フォールズ・ファイヴ≠ニして、
2001年、2005年、2006年、2008年、2009年、2011年と随分と来日経験が豊富で、
さすがに本国アメリカよりも日本で先に売れ始めただけあって、立派な親日家の一人です。

しかも、1998年、2008年はフジ・ロック・フェスティヴァル、
2000年はサマー・ソニック・ミュージック・フェスティヴァル、2009年はNANOMUGEN FES出演、
2006年に至ってはUDO ミュージック・フェスティヴァル出演と、日本のフェスティヴァルに片っ端から出ています。

で、今回はベン・フォールズ・ファイヴ≠ニしては、2000年のサマー・ソニック以来、
13年ぶりのワールド・ツアーに於ける来日公演であり、サポート・ミュージシャンも伴わない、
純正のギターレス・3ピース・バンド形式で公演が行われるということで、言うなれば再結成ツアーみたいなもん。

週末の公演ということもあって、チケットは見事に完売。
初めて三軒茶屋の駅で降りて、初めて昭和女子大学(...の人見記念講堂)に行くということで、
何故か妙なワクワク感もあったのですが、予想してたよりも会場まで時間がかかって、
会場に到着したのは16時50分、開演の10分前という忙しなさでしたが、なんとかセーフ。

現実的には集客は難しいのでしょうが、会場は2000人入らないぐらいで、
ベン・フォールズはここ最近、渋谷公会堂か昭和女子大学 人見記念講堂を使っているようですが、
もうベン・フォールズのクラスなら最大3000人を収容できる東京ドーム・シティ・ホールか、
思い切って5000人強は収容の東京国際フォーラム使っても、いいんじゃないかなぁと思うんですけどね。。。
(ちなみに1999年の来日公演は東京国際フォーラムでやっていたんですがねぇ・・・)

何故か僕には公演前に予想していたことがあって、
たぶんベン・フォールズの最初のコメントは「ど〜もォ〜、ベンちゃんでーす」と言うだろうということと、
おそらく1stアルバムと最新のThe Sounds Of The Life Of Mind(サウンド・オブ・ザ・ライフ・オブ・マインド)の
収録曲が中心のセットリストだろうということ、この2点を勝手に決め込んで会場に足を運んでいました。

そしたら客電が落ちて、総立ちの観客の手拍子に乗せられて登場したベンの第一声は、
「トッキョーー、サイコォォォォォッ!!」というMCでいきなり裏切られ(笑)、終わってみれば、
セットリストは最新アルバム中心なのは当たりましたが、1stアルバムよりも2ndアルバムの方が多かったかな。

開演も数分しか遅れず、海外アーティストにしては珍しく、時間に律儀なベンらしく、
ステージに登場してからは、アンコールの2曲までは一気に約1時間45分にわたっての熱演。

途中、スローな曲を入れて緩急を付けてはいるとは言え、
ほとんどアドレナリン出っ放しのステージに近いので、やっぱりこの内容で2時間超えはキツいのかな。
終演後、出口に張ってあったセットリストを観ると、事前に用意していた曲としては、
Magic(マジック)とDo It Anyway(ドゥ・イット・エニウェイ)があったらしいのですが、どうやらやめたみたいだ。

但し、観る限り、決してベンの調子や機嫌が悪かったというわけではなく、
常にサービス精神溢れたベンらしいパフォーマンスで、3人の演奏のせめぎ合いも素晴らしかったですね。

未だにJackson Cannery(ジャクソン・カナリー)のイントロが始まった瞬間、
客席が大盛り上がりなのが忘れられず、終盤のPhilosophy(フィロソフィー)でも大歓声。
とすると、おそらくデビュー当時からの熱心なファンが多かったのでしょうね。年齢層も30〜40代中心でしょうか。

後から考えてもビックリだったのは、
4曲目のSelfless, Cold And Composed(セルフレス、コールド・アンド・コンポーズド)が終わった後に、
ベンが自分のi−phoneを取り出して、アメリカの伝説的カントリー・ミュージシャン、
「ウィリー・ネルソンが今年で80歳になるから、バースデー・ヴィデオを作りたいんだ」と言って、
会場にハッピー・バースデーを歌わせて、その様子を動画撮影するというサプライズがあったこと。

あれって、ホントにウィリー・ネルソンに送られていたら、良い記念ですね。
(って、後から調べたら、ウィリー・ネルソンの誕生日は4月だぞ!)

中盤の新作からのナンバーDraw A Crowd(ドロー・ア・クラウド)では、
すっかり太ってしまったベースの兄ちゃんがピョンピョン飛び跳ねくって観客を煽る大サービス。
(あれだけで5kgは痩せられそうなぐらい、強烈なエアロビだったなぁ・・・)

終盤は畳み掛けるような展開で、Underground(アンダーグラウンド)の始まりでは、
ベンが小声でマイクを通して、「チョット、マッテ」と言う、なんともお茶目さん(笑)。

たぶん最後のArmy(アーミー)の客席にコーラスを求めるところは、
ベン的には今一つな感じだったのかもしれませんが、なんとかアンコールにも出てきてくれて、
Song For The Dumped(金返せ)をお約束のたどたどしい日本語で全て歌い切り、
アンコールの最後がOne Angry Dward And 200 Solemn Faces
(ワン・アングリー・ドワーフ・アンド・トゥー・ハンドレッド・サラム・フェイシズ)だったとは、ちとビックリ。

一番、良かったのは定番だけどPhilosophy(フィロソフィー)かな。
半分、メドレーっぽく、間髪入れずにKate(ケイト)に入っていくのも、カッコ良かったし。

最新アルバムThe Sounds Of The Life Of Mind(サウンド・オブ・ザ・ライフ・オブ・マインド)からの
演奏曲はさすがにワールド・ツアーで演奏してきたせいか、完成度は高かったように思いますね。
おそらく公演を重ねるごとに磨きをかけてきているのでしょうが、このジャパン・ツアーでも更に良くなるでしょう。

あぁ、そうそう。ここは初めて行った会場で、ホントに大学の講堂って感じでしたが(笑)、
さすがにコンサートなどイベントを数多くやっているだけあって、音は結構、良かったように思います。
決して新しい会場ではありませんが、ひょっとしたらベン・フォールズにとっても、丁度良いクラスなのかもしれません。

やっぱし、ベン・フォールズのピアノは上手いなぁ。
そりゃ若い頃のように、ピアノの上に乗っかって弾いたり、足で弾いたりはしないけど、
あれだけアタックする感じの強い音を、優しく聴かせるピアノ弾きはそういないでしょう。

というわけで、なんか妙に楽しい気分にさせてくれる良いライヴでした。
次の来日公演も是非、行きたいなぁ!