2014年10月1日(水)

パシフィックリーグ公式戦23回戦

北海道日本ハムファイターズ vs 東北楽天ゴールデンイーグルス

<札幌ドーム>

チーム 1回 2回 3回 4回 5回 6回 7回 8回 9回 得点 安打
× 14

【勝】 吉川 3勝4敗 【負】 則本 14勝10敗

(審判) 球審:西本, 一塁:本田, 二塁:深谷,三塁:敷田

          

2014年度のシーズン、日本ハムはクライマックス・シリーズ進出を決めた。
2日前に決定していたので、ハッキリ言って、この試合は消化試合。

しかし、札幌ドームはかなりの熱気に包まれ、先月に見に行った試合よりも観客が明らかに多い。

それは何故かって、なんてったって、この日は引退する金子 誠のセレモニーがあるのです。
ドームの入口でサイリュウムなどを渡されて、如何にも特別なイベントがあるという雰囲気ムンムンです。

しかし、金子誠の引退試合とは言え、正直、この日はキビしいんじゃないかと思ってた。
楽天は何と言ってもエース則本先発で、彼は実質的に最多勝がかかったマウンドになる。
ハムはハムで最近、良くなってきたとは言え、ほぼ未知数の吉川が先発だったせいか、
どうも状況的にはハムが圧倒的に不利というか、文字通りの消化試合な空気丸出しなんではないかと思ってた。

しかし、いざ試合が始まったら、ビックリですね。
まず、ハムの先発の吉川が凄く良い。今シーズンの低迷は何だったのかと聞きたくなるぐらい。
初回からビュンビュン飛ばして、2012年に最多勝を取った年並みのマウンドと言ってもいいぐらい。

さすがに力強い真っ直ぐとは言え、2012年のように150km/hはでないけれども、
おそらくこの日の最速は148km/hで、特に2回に嶋を三球三振にとったのは圧巻のピッチング。
最後はインハイの148km/hの真っ直ぐで、嶋も思わず振っちゃったって感じの三振。
ああやって、見下ろして投げてるかのような吉川は、やや久しぶりに見た気がしますね。

さすがに6回にバテてしまったのか、1点を失ってからは球数が増えてしまいましたが、
もしこのピッチングをシーズン序盤にどこかで1回でもいいからできていれば、
今シーズンの吉川はかなり勝てたんじゃないでしょうか。無駄な四死球も無くって、
ボール先行の悪いカウントにすることは皆無で、思わず「これはホントに吉川なのか?」と聞きたくなるほど。

確かにこの試合の1週間半前に仙台で先発し、6回無失点に抑えるピッチングなど、
次第に調子を上げてきたような感じで、結果的にこの日のマウンドで3勝目をあげましたが、
これだけ投げれるとなると、ひょっとしたらポストシーズンでの先発もあるかもしれませんね。

打線の方は、何故かこの時期に全員が好調になるという嬉しい事態です。
おそらく現在、上位3チームの中では、一番、調子が良い打線と言っていいでしょう。

楽天のエース、則本はいつもの圧倒感は無く、3回のこの日の主役、金子誠のチーム初ヒットを皮切りに、
アッサリと1点を失うなど、別に球数を要したわけでもないのに、要所でのコントロールが甘いせいなのか、
次から次へとヒットを打たれてしまい、いつも走者を抱えたピッチングで、調子は明らかに良くなかったですね。

4回には、送りバントに失敗して、悪い空気が流れていた杉谷相手に、
2ストライク追い込んでからのフォークをセンターへのポテンヒットにされて、再び1点献上。
これでは流れを呼び込めるわけがなく、西川に1塁線を破られて、4失点でノックアウト状態。
おそらく星野監督も、則本に最多勝のタイトルを獲らせたいのでしょうが、早々に諦めてしまいました。

5回から投げた楽天の森、彼はシーズン序盤、ローテーションで回るなど、
スタッフから大きな期待を寄せられる、期待の大型左腕ですが、まだまだ甘いですね。

独特な腕のしなりを強調したかのような投球フォームから、キレの良い真っ直ぐと投げますが、
結構、アッサリとハム打線に打たれてましたので、おそらく球の出所が見やすいんでしょうね。

5回に近藤に打たれたセンターの頭を越える二塁打、
7回に杉谷に左中間フェンス際まで運ばれた2点タイムリー二塁打、この2本はほぼ完璧にジャストミート。
特に杉谷の当たりは、伸びが弱かったのに助けられましたが、札幌ドームでなければホームランでしょう。

結局、楽天投手陣の中で投げたピッチャーの中では、
凱旋登板となった、札幌藻岩高校出身の3年目、武藤だったというのが皮肉な結果。
楽天ファンの間では、「なんで武藤がドラ1だったのか?」と悪評高いのでアレなんですが、
個人的には武藤に頑張って結果を出して欲しいので、この日の好投は嬉しかったですが・・・。

肝心かなめの金子誠は、相変わらずの美技連発で、
試合の序盤は普通にショートゴロをさばいただけで、大歓声という異常事態で、さすがに戸惑った(笑)。

センター前ヒットを打ったときも周囲は大騒ぎ、最終打席でレフトへ犠牲フライ打ったときも、
周りは大盛り上がりでしたので、如何に金子誠がハムファンに愛されていたかを象徴していましたね。

試合終了後の引退セレモニーでは、入団当時からのVTR、
懐かしいチームメンバーからのビデオメッセージが流され、花束贈呈に金子誠の最後の挨拶と、
ある意味で定番な流れではあったのだけれども、このセレモニーは感慨深かったなぁ。
まぁ稲葉もそうなんだけれども、さすがに金子誠の引退も、「一つの時代が終わったなぁ」と実感させられる。

珍しくヒネたところがある金子誠も泣いてましたし、
守備の人としての意味が強かったプレーヤーではありましたし、
たまにワザと凡退してるんじゃないかと思わせられる打席なんかもあったりしましたけど、
やはり金子誠なりに全力に取り組んだ集大成が、この日の試合だったのかもしれません。

そう思うと、一抹の寂しさは拭い切れません。

2014年の日本ハムは栗山監督の方針の下、
数多くの若手選手にチャンスを与え、西川、中島、近藤、上沢、浦野とニューフェイスが台頭しましたけど、
その最中で、金子誠のような選手がいなくなってしまうことは、大きな損失と言ってもいいでしょう。

この日、楽天の若手選手で出場していた内田や三好のような
威勢の良い選手を見ていると、ハムもウカウカしていられないと思います。
楽天の若手選手のバッティングが凄く良いものがあります。ハムも、もっともっと競争が必要だと思います。

寒空の下、ドームからの帰り道は寒風が身に染みましたけど、
2014年の見納めとしては、とても素晴らしい試合を見せてもらいました。また来年!
東北楽天ゴールデンイーグルス
打撃成績 打率 打数 得点 安打 打点 三振 四死球 犠打 盗塁 失策 1回 2回 3回 4回 5回 6回 7回 8回 9回
1 松井稼 .289 4 0 1 1 1 0 0 0 0 三飛 中飛 右翼2 見三振
2 岩ア達 .189 2 0 0 0 0 0 0 0 0 遊ゴロ 中飛
打三 内田 .000 2 0 0 0 2 0 0 0 0 空三振 空三振
3 岡島 .287 3 0 1 0 1 0 0 0 0 三ゴロ 空三振 三安
藤田 .272 1 0 1 0 0 0 0 0 0 右安
阿部 .263 0 0 0 0 0 0 0 0 0
4 ジョーンズ .221 4 0 0 0 1 0 0 0 0 空三振 三ゴロ 三ゴロ 中飛
5 枡田 .215 4 0 1 0 1 0 0 0 0 投ゴロ 二ゴロ 左安 空三振
6 .265 2 0 0 0 1 0 0 0 0 空三振 二ゴロ
小関 .149 1 0 0 0 1 0 0 0 0 空三振
7 西田 .252 3 0 0 0 0 0 0 0 0 遊ゴロ 遊ゴロ 左飛
8 三二 三好 .333 3 1 1 0 1 0 0 0 0 空三振 中翼2 中飛
9 島内 .240 3 0 1 0 0 0 0 0 中安 二直 右飛
投手成績 防御率 イニング数 打者数 投球数 被安打 被本塁打 奪三振 与四死球 失点 自責点
則本 3.10 4 20 66 6 0 3 2 4 4
5.93 3 18 71 7 0 2 3 4 4
武藤 7.13 1 5 15 1 0 0 1 0 0
北海道日本ハムファイターズ
打撃成績 打率 打数 得点 安打 打点 三振 四死球 犠打 盗塁 失策 1回 2回 3回 4回 5回 6回 7回 8回 9回
1 右一右 西川 .265 4 0 3 2 1 1 0 0 0 空三振 右安 右翼3 右安 四球
2 中島卓 .262 5 0 1 1 2 0 0 0 0 三ゴロ 右安 空三振 左飛 空三振
3 .293 5 0 0 0 2 0 0 0 0 空三振 遊ゴロ 右飛 空三振 遊ゴロ
4 中田 .272 3 2 2 0 0 2 0 0 0 四球 二飛 左安 中安 四球
5 近藤 .259 4 2 3 1 0 0 0 0 0 二ゴロ 左中2 中越2 遊安
飯山 .216 1 0 1 0 0 0 0 0 0 中安
6 小谷野 .296 2 0 1 0 0 1 0 0 0 左飛 四球 左安
走左 谷口 .268 1 0 0 0 0 1 0 0 0 四球 中飛
稲葉 .247 0 0 0 0 0 0 0 0 0
7 左右左 杉谷 .205 5 2 2 3 0 0 0 0 0 中飛 中安 遊飛 左中2 二ゴロ
8 大野 .176 2 0 0 0 0 1 1 0 0 一邪飛 捕犠打 四球 遊ゴロ
9 金子 .143 3 2 1 1 0 0 0 0 0 中安 三ゴロ 三ゴロ 左犠飛
投手成績 防御率 イニング数 打者数 投球数 被安打 被本塁打 奪三振 与四死球 失点 自責点
吉川 4.88 7 25 111 5 0 6 0 1 1
クロッタ 2.67 1 3 13 0 0 1 0 0 0
アンソニー・カーター 3.97 1 4 20 1 0 2 0 0 0