バッド・ティーチャー(2011年アメリカ)

Bad Teacher

しかし、キャメロン・ディアスはホントにこういうの好きだなぁ〜(笑)。

モデル出身で若い時から、持ち前の美貌を武器に数多くのヒット作に恵まれてきましたが、
若い時から『メリーに首ったけ』、『クリスティーナの好きなコト』など、下ネタ満載の映画に
好んで出演していただけに、ある意味で未だにこういう映画に出演するという気概は嬉しい(笑)。

とは言え、女性にこういう言い方も失礼ではありますが...
正直言って、もう40歳を迎えたこともあってか、最近は若干、年齢を感じさせるなぁ・・・。
それだけに、こういう映画で無理してギャルっぽい生き方をしようとする姿を見るのが、ツラいんですよねぇ(苦笑)。

映画はお世辞にも志が高い映画とは言えませんが、
まぁ・・・そこそこ楽しめます。個人的には、もう少し笑えるシーンがあっても良かったかなぁとは思うけど。

主人公のエリザベスは教育に対する熱意の欠片も無いにも関わらず、
何故か教壇に立ち、いち早く玉の輿に乗って、優雅な生活を夢見ているものの、
やっと掴んだ富豪の御曹司との結婚も、アッサリ彼女の魂胆を見破られ、結婚は破談に。

失意のままに学校に戻るも、臨時教員のイケメン、スコットに早くもメロメロで
彼の好みが巨乳であることを知った途端に、金を貯めて豊胸手術を受けるための資金を集めることに。
やがて自分のクラス担任の教室が、合同テストでトップの成績を取った際には、自分に多額の報酬が
得られることを知ったエリザベスは、突如として、スパルタ教育方式で生徒たちに向き合い始める・・・。

とは言え、彼女のとった手段は、あくまでコメディ映画だから成立する話し。
この映画を道徳的な映画だと思って観ちゃダメです(笑)。思いっ切り、不道徳な映画ですから。

監督は02年に『オレンジ・カウンティ』が話題になったジェイク・カスダンで、
彼は『白いドレスの女』などを撮ったローレンス・カスダンの息子です。『オレンジ・カウンティ』は高く評価され、
まだ年齢も若いだけに、これからのハリウッドを背負っていく存在として注目を浴びているのでしょうが、
もう少し映画全体のバランスを意識しながら、映画を構成することを考えた方が良いような気がしますねぇ。

どうも、映画の流れが分かりづらく、映画自体に勢いが感じられない。
そりゃ、そこそこ楽しめる内容ではあるのですが、太鼓判を押せるほど良いと思えないのは、
おそらくジェイク・カスダンという映像作家の個性が、この映画に強く反映されているとは言い難いだからだろう。

幾つかの下ネタで笑えたとしても、その全てが単発で終わってしまう。
これはもう少しジェイク・カスダンには経験が必要なんですかね。どうしてもシックリ来ないんですね。

よく思っちゃうことではあるのですが...
ジェイク・カスダンにもう少し規模の大きな映画、そしてコメディ映画を撮ったという経験があれば、
またこの映画は違った結果になっていたと思うんですよね。僅かに“何か”を変えるだけで、
この映画なんかは劇的に面白くなったはずだと思いますね。そうなだけに、これは勿体ない。

せっかくキャメロン・ディアスの厚顔無恥な芝居が好評だっただけに、
この映画はキャスティングは大成功だったわけで、ジャスティン・ティンバーレイクなんて大スターを配役して、
奇抜なコンセプトを持たせたにも関わらず、ラストで小さくまとまってしまったのが残念ですね。
何故、エリザベスが心変わりしたのか、説得力を持って描けなかったのが、大きな致命傷でしたね。

特に終盤、エリザベスは生徒たちのことを考え始めるのですが、
それが少年にブラジャーを渡すという行動だけで語ってしまうということには、さすがに無理を感じる。
できることであれば、エリザベスが大きな心変わりをするキッカケとなったエピソードが欲しいですね。
そうでなければ、底抜けにだらしなく、教育的信念が皆無だった教師が変わるなんて思えない。
この辺はシナリオに大きな問題があったと言わざるをえず、構想の段階で修正すべき点でしたね。

仮にそれがジャスティン・ティンバーレイクとの奇怪なベッドシーンだと言うのなら、
それは全くの見当外れというか、あまりに寂しい発想と言わざるをえませんね。
やはり映画の全体像を意識しながら、映画のシナリオを書いているとは思えぬ、発想の悪さです。

全米で1億ドルを超える興行収入がある大ヒットとなったとは言いますが、
批評家含む、観客の満足度の調査ではあまり獲得点数が良くなっただけに、満足度が低かったんでしょうね。

コンセプトやキャスティングが良かっただけに、観る前の期待値が高かったとは思うんですよね。
しかし、映画に思ったほどの爆発力がなく、笑える部分が少なかっただけに、満足度が低かったのだと思う。

まぁ・・・どんなに嫌なキャラクターであっても、どこかキュートに演じられる
キャメロン・ディアスの不思議な魅力が健在なのを証明できたことに価値はあったのかも(笑)。
個人的には芝居が下手な女優さんではないと思うので、シリアスな映画でもアピールできると思うんだけどなぁ。
(僕はゆくゆくはアカデミー賞を獲れるだけの力はあると思ってるんだけどね・・・)

繰り返しになりますが、この映画はお世辞にも道徳的な映画とは言えません。

あまりにエリザベスにとって、都合の良すぎる内容に偏ってしまったことは、
どう考えても、この映画にとってマイナスでしかなかったとしか、僕には思えないですね。
強いて言えば、エリザベスの行いについては、キチンと道徳的になった方が良かったと思うんですよね。
その方が、映画の納得度が上がったと思うんですよね。教育者を描いた作品なわけですし。

確かに「あくまでコメディ映画だから・・・」という論調も分かるけど、
この映画の僕の中での、どうしても引っかかる違和感って、こういう部分にあった気がします。

まぁ・・・そんなこと思うってことは、自分も年とったのかなぁと思っちゃうのですが(笑)、
検討が噂されている続編では、改心したエリザベスの悪戦苦闘を観たいですね。
(あくまで検討の段階だから、続編は実現しないかもしれないけれども・・・)

(上映時間91分)

私の採点★★★★★★☆☆☆☆〜6点

日本公開時[PG−12]

監督 ジェイク・カスダン
製作 ジミー・ミラー
    デビッド・ハウスホルダー
脚本 ジーン・スタプニツキー
    リー・アイゼンバーグ
撮影 アラー・キヴィロ
編集 タラ・ティムポーン
音楽 マイケル・アンドリュース
出演 キャメロン・ディアス
    ジャスティン・ティンバーレイク
    ジェイソン・シーゲル
    ルーシー・パンチ
    ジョン・マイケル・ヒギンズ
    フィリス・スミス
    モリー・シャノン
    デイブ・アレン
    デビッド・ペイマー