アルマゲドン(1998年アメリカ)

Armagedoon

劇場公開時から、映画ファンの間では賛否の大嵐だったけど...
まぁこういった比較的、安直とも思えるエンターテイメント路線を否定したくなる気持ちも分かるけど...
劇場公開当時、珍しく高校生だった僕が本作を映画館で観たとき、そりゃ凄い映画だなぁと“体感”したもんです。

マイケル・ベイ、ジェリー・ブラッカイマーのプロダクションが仕掛けた、
地球滅亡の危機を意味する、巨大惑星と地球の衝突を回避すべく宇宙へと派遣された
石油採掘技師たちの活躍を描いたSFアクションなわけで、世界的に商業的成功を収めました。

さりとて、これは批判を受け易い映画ではある。

そもそも90年代後半って、この手の地球滅亡の危機を描いた感動系映画が数多く発表されて、
映画ファンの多くが、こういった題材のアクション映画に食傷気味であったことは否定できません。
『インディペンデンス・デイ』、『ディープ・インパクト』、『マーズ・アタック!』と続きましたからねぇ。

そしてマイケル・ベイの作為もかなり露骨に出てるもんだから、
こういう作りは、得てして観客の共感と共に、反感をかい易いと思いますね。

ただ、批判覚悟で言いますけど、僕はこの映画、嫌いじゃないなぁ。
劇場公開から10年以上経った今になっても尚、それでもそこそこ面白い映画だと思いますねぇ。
いろんな観方ができると思うんです。感動系映画としても魅力はあると思うし、
アクション映画としても盛り上げ方は基本に忠実で悪くないし、映像効果も素晴らしい出来。
それと、これはコメディ映画としての側面もあって、なかなか可愛げがある映画だと思う。

チョット褒め過ぎかもしれないけど(笑)、
少なくとも、僕は本作が最低の部類の映画だとは思えない。これを超える出来の悪い映画はたくさんあります。

ただ、今となっては懐かしいが(笑)、冒頭のニューヨークのシーンで、
松田 聖子がタクシーに乗ってるシーンなんかで、次々と巨大隕石が衝突して街を破壊するシーンは、
お世辞にも何度も観たいシーンとは言えない。こういったシーンは賛否が分かれるところだろう。

劇中、何度か使われておりますがエアロスミス≠フ主題歌は印象的ですね。
『I Don't Want To Miss A Thing』(ミス・ア・シング)って、スティーブン・タイラーにしか歌えないかも(笑)。

ただこの主題歌も含めて、ゴールデン・ラズベリー賞に大量ノミネートされたのは気になるなぁ。
半分、恒例化された行事で、認知度が高い賞だから、別にいいんだけど、この結果が明らかに本作に対する
映画ファンたちのアゲインストな風を強めましたね。チョット不当な評価であるような気がします。

マイケル・ベイがハリウッドを代表するヒットメーカーとして台頭した分だけ、
常に彼が発表する作品に対する映画ファンの目線は厳しくなっていったことは確かだと思いますね。
それに対抗するかのように、マイケル・ベイもヒット路線を強く意識して映画を作るようになるから、
本質的に彼が観客を楽しませようとするエンターテイメント精神を置き去りにしてしまったのかもしれませんね。

でも、僕は敢えて言いたい。「それでも本作はそんなに悪くない」と(笑)。

地球に巨大惑星が衝突して、人類滅亡の危機という状況で、
NASAが考え付いた対処法が、荒くれの石油採掘技師たちに惑星に巨大な穴を掘らせるという
発想を大真面目に描こうとするなんて、僕は本気でマイケル・ベイの懐の深さを象徴していると思う。

別に馬鹿にするわけではなく、こういう内容を堂々と映画の中で実現できるのは、
マイケル・ベイとジェリー・ブラッカイマーのプロダクションぐらいでしょう、今となっては。

そういう意味では、ピーター・ストーメア演じるロシア人宇宙飛行士もキャラクターもいい加減(苦笑)。
アメリカにやたらと敵意を剥き出しにしたり、技術的に遅れていることを強調させたり、
故障したり予測不能の事態に陥ったら、何でもブッ叩いて解決しようとする強引さなんて、
言葉悪くすれば、アメリカ人がロシア人に対して抱く偏見の典型例みたいなもんですね。

しかし、そこは世界の大国アメリカ(笑)。
良くも悪くも彼らなりの開き直りがあって、「映画だから、それでいいのだ」と言わんばかりに、
そういったロシア人に対する描き方を押し通してしまう、強引さがある意味では羨ましいですね。

簡単に言ってしまうと、体育会系な映画だと思うんだけど、
ナンダカンダ言って、彼らが宇宙へ飛び立つまでの流れはグッと来るものがある。
特にエピソードとしては、僅かにしか紹介されてはいませんが、
ウィル・パットン演じるギャンブル好きな男が、別れた妻子に会いに行くシーンは悪くない。

注文を付ければ、映画の尺が長過ぎるとは思う。
さすがにこの内容で2時間30分というのは、見応えがあると言えば聞こえはいいが、
時間的にはかなりの無駄が見え隠れする内容で、チョット残念ですね。

そういう意味では、宇宙に行くまでの描写が長過ぎたかもしれませんね。
全体的にもっとタイトに締め上げることは可能だったと、僕は思います。

(上映時間150分)

私の採点★★★★★★★★☆☆〜8点

監督 マイケル・ベイ
製作 ジェリー・ブラッカイマー
    ゲイル・アン・ハード
    マイケル・ベイ
脚本 ジョナサン・ヘンズリー
    J・J・エイブラムス
    スコット・マイケル・ローゼンバーグ
撮影 ジョン・シュワルツマン
編集 マーク・ゴールドブラット
音楽 トレバー・ラビン
出演 ブルース・ウィリス
    ベン・アフレック
    ビリー・ボブ・ソーントン
    リブ・タイラー
    ピーター・ストーメア
    ウィリアム・フィクトナー
    ウィル・パットン
    スティーブ・ブシェミ
    キース・デビッド
    マイケル・クラーク・ダンカン
    オーウェン・ウィルソン
    ジェイソン・アイザックス
    ウド・キアー

1998年度アカデミー主題歌賞(エアロスミス) ノミネート
1998年度アカデミー視覚効果賞 ノミネート
1998年度アカデミー音響賞 ノミネート
1998年度アカデミー音響効果編集賞 ノミネート
1998年度ゴールデン・ラズベリー賞ワースト作品賞 ノミネート
1998年度ゴールデン・ラズベリー賞ワースト主演男優賞(ブルース・ウィリス) 受賞
1998年度ゴールデン・ラズベリー賞ワースト助演女優賞(リブ・タイラー) ノミネート
1998年度ゴールデン・ラズベリー賞ワースト監督賞(マイケル・ベイ) ノミネート
1998年度ゴールデン・ラズベリー賞ワースト脚本賞(ジョナサン・ヘンズリー、J・J・エイブラムス、スコット・マイケル・ローゼンバーグ) ノミネート
1998年度ゴールデン・ラズベリー賞ワースト・スクリーン・カップル賞(ベン・アフレック、リブ・タイラー) ノミネート
1998年度ゴールデン・ラズベリー賞ワースト主題歌賞(エアロスミス) ノミネート